俺は心配な目でそう聞いた
俺は今にも泣きそうなあなたを見てるのが辛かった
あなたの体が少しだけ震える
俺はあなたの震える体を優しく抱きしめた
俺はあなたを抱きしめたままあなたの頭を撫でた
忘れられない…か。
俺、何回あなたに危険な目に合わせたんだろう。
こんなんじゃ…、だめだよな。
あなたは首を横に振った
『マサイのせいじゃない』
って。
その後俺はあなたのご両親に電話をいれ
休む許可をもらった
あなたの手は震えていて、俺はその手を握ってあげることしか出来なかった
あなたの心にできた傷は大きくて
俺はその傷を背負ってあげることは出来るのだろうか。
いや、背負ってあげなきゃいけない。
俺があなたと一緒にその傷を治していく。
それが、俺があなたに出来る最低限のことだとも思う
もっと、たくさんのことをしてあげたい。
でも……何をしてあげればいいのかわからない。
彼氏なのに…婚約者なのに…。
俺はあなたに何をしてあげればいい?
図星だった。
俺のせい…。
さっきからそればっかりを考えていた。
バレてたんだ…
あなたには心配かけないようにしてきたはずが
余計に心配させてしまっていた。
あなたが俺の頭をポンポンとする
俺が慰められてるし…w
まぁいいか。
俺はそう言ってあなたの頭を撫でた
子犬みたいにはしゃいでいるあなた。
ほんとにかわいい。
ギュッ
そう言ってあなたは抱き返してくれた
ゆっくり体を離し、おでこをコツンと当てる
俺らはやさしいキスを交わした
俺は今ふと…
あなたが高校を卒業したら
もう一度プロポーズをしよう。
そう思った。
┈┈┈┈次の日┈┈┈┈
そう言って俺は電話を切った。
そう。
あなたの通ってる学校はこの辺ではダントツで頭のいい高校。
しかも超有名高。
有名人も何人か通っていたとか…
俺はそんなことを呟く
あなたが扉からひょこっと顔を出す
その後一緒に朝ごはんを食べてテレビを見ていた時だった
突然シルクが家に入ってきた
あなたは少し戸惑っていた
俺はあの日のことを鮮明に話した。
全て。何一つ隠さず。
シルクは少しの間考え込んでいた
するとポケットから携帯を取り出し何かを調べ始めた
シルクのその話を聞いた瞬間
背筋がぞっとした
あなたの手がかすかに震えてるのを
俺は見逃さなかった
俺はあなたの頭を撫でる
『えへへ』と苦笑いをするあなた
俺はシルクと目を合わせた
少し弱々しく笑うあなたは何処か寂しそうだった
あなたはシルクの目を真っ直ぐ見てそういった
そう言ってシルクは帰った
後ろをむくと少し俯いているあなたの姿が見える
その声は確かに震えていた
あなたは少し
思い違いをしているだけ。
俺はこの時そう思っていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。