ピピッとアラームの音が部屋に響く
いつもはアラームでは起きない俺が珍しく起きた
あくびをしながらリビングに向かうと、既にあなたは朝食を作り終えていた
朝からあなたの元気いっぱいの笑顔が目に焼き付かれた
顔を一気に赤く染める
なんだよその反応…
可愛すぎだろ。
あなたは話を逸らした。
まぁそんな所も可愛いから好き。
俺は顔を洗って、椅子に座り
あなたと声を合わせて「いただきます」と言った。
朝からこんなにも美味しいご飯を好きな人と一緒に食べれて、俺はほんとに幸せだ。
俺はその笑顔を見てから、再び箸を進める
2人で「ごちそうさま」をして、俺は着替える
ダメージジーンズを履いてTシャツを着る。
その上から薄手のパーカーを羽織った
リビングに戻るとあなたはもう出る用意を終えていた
ダサいってことか…?
あなたはふいっと横を向きながら言うその顔は真っ赤だった
ぽんっとあなたの頭に手を置いて
あなたの顔をのぞき込むようにして腰をかがめる
俺はあなたの手を引っ張って外に出る
俺ら相当なバカップルだな
そんなことを思いながら、あなたと手を繋いで道を歩く
相変わらず女子高校生からの甲高い声と男子高校生の青ざめた顔がある。
俺の顔をのぞき込むように上目遣いで聞いてくる
クルッと俺は振り返ってあなたの目線に合わせてかがむ
どういうこと?と言おうとするあなたの言葉を遮って
あなたにキスをした
あなたは顔を真っ赤にして俯いた
周りはずっとキャーキャー言ってる
でも
あなたが可愛すぎてそれどころじゃない。
後ろから呼ばれる
振り向くとそこには…
ライバルとも言える「新島凱斗」がいた
俺はニヤッとする
多分今のを見てたんだろう。
まぁいいや、俺にとっては好都合だし。
俺はあなたを見る
再び凱斗の顔を見るとあからさまにゆがんでいた
あなたを見て、目線で伝えた
ドサッと何かが落ちる音がした
音がした方を見ると凱斗がカバンを道路に落としていた
捨て台詞のように言って、走って行ってしまった
俺はあなたの手を引っ張って、学校とは反対方向に向いて家に向かった
しょぼんと肩を落とすあなただけど
俺はあなたが可愛すぎてどうしようもない。
俺は学校に連絡をして、家へついた
あなたはカバンを下ろすと、ソファに腰掛けて体育座りをし口を膨らませている
俺は即答した。
俺はあなたの隣に座った。
あなたはふいっと顔を背けた
あなたがこちらを向いた瞬間にほっぺたをフニっとする
自分で言ってて少しイラッとした。
あなたが俺以外の男と一緒にいたいとかありえない。
というか、俺が許さない。
あなたは俺を睨む
そう言ってあなたは腕組をして、口を膨らませた
あなたは口を尖らせた。
何をしても可愛い。もうだめだ。
あなたは俺の腕を掴む
俺はswitchをもって床に座り直し、脚を開いてその間を手でポンポンする
とかいいながら、間に座ってくるあなたは素直過ぎてもうやばい…
そう言ってあなたの頭の上に顎を置く
「ふふっ」と笑うあなた
表情は見えないけどなんとなく分かる
ピコンッ
後ろからあなたの携帯を覗き込む
すると、あなたはバッと携帯を伏せた
あきらかに焦ってるし…
嘘ついてるのバレバレなのに
だと思った。
凱斗じゃなかったら隠す必要ないもんね
あなたから携帯を受け取った
『あなた!お前登校してたじゃねぇか!
体調でも悪くなったか?熱中症か?帰りにマサイさんの家に寄るから待ってろよ!あと、マサイさんがでるなよ!お前がでろ!絶対な!』
はぁ?
子供かっつーの…
でもなんだか面白くてつい吹き出してしまった
ちょっとふざけ半分で言ってみた
まぁー、しねぇけど。
てかするわけねぇだろ。
怒ってるわけじゃないから、謝んなくていいのに…
ほんとに素直なとこも大好き
あいつと話すの、少し楽しみだわ。
それからゲームをして
一緒にお昼ご飯を作って食べた
何やかんやで、もう夕方
ピーンポーン
一瞬だけ目を開いてからそう言って玄関まで来た
ガチャリと、あなたが扉を開ける
その様子を俺は見えない位置からそっと見守る
何事かと思った。
ありえない光景を目にした。
凱斗が
あなたにキスをしていた
後頭部に手を回し押さえつけるかのように
無理やり。
俺はグイッとあなたを凱斗から離した
なんでそこで黙るんだよ。
ふざけんな。
人の女に手出しといて。
あなたは今にも涙が出そうなくらい
目に涙をためていた
あなたはコクリと頷いた
凱斗はそのまま無言で俺の部屋に入るなり
少し遠くにある椅子に腰掛けた
あなたはずっと俺の手を握っている
少しだけ震えているのが分かる。
俺は握り返した。
イライラする。
さっきの光景がフラッシュバックする。
あなたは俺らの様子を伺っているようだけど、何も言わなかった
凱斗の声にビクリと肩を揺らすあなた
ここで俺が大声出しても、意味が無いと思って冷静になった。
「好きにならなきゃよかった」
初めて言われた。
でもこんな時でも重ねてしまうのはいつもマサイ
マサイに言われたらどう思うだろう。
でも、ごめんね。凱斗…
マサイと出会ってなくても、凱斗のこと
幼馴染としか見れてない…
あなたは俺を見る。
今にも泣きそうな顔で…
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かがプツッと切れた
泣いていた。
凱斗を思ってなのか、俺を傷つけた凱斗への怒りなのか分からなかった。
そう言って、凱斗は俺の家を飛び出した
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!