病院に着いた時
ジナの目はすぐに閉じてしまいそうなほどだった
不安で、心配で、怖くて、涙が止まらない
弱々しく差し出される手を強く握る
その言葉に涙が押し寄せる
手術室に運ばれるジナの手が離れる
この光景を僕は知っていた
いつだっただろう、
忘れたくない記憶に縋り付くようにあの手を握っていた
あの日の記憶
ジナの手術が終わる頃には
ジナのお義母さんたちも僕の家族も着いていた
その時だった手術室から医師が出てくる
安堵の声がその場を包み込む
ベットの上でたくさんの点滴に繋がれるジナを見ると
涙が押し寄せる
僕はわざとらしく言う
それも全部、僕を心配して起きてほしいがため
その時だった
握っていた右手に少し力が入った
重い瞼がゆっくりと持ち上がる
知らせに行こうとする僕の手を掴む
ジナは僕の涙をゆっくりと拭う
僕はその手を強く握る
その日が今年最後の雪の日だった














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!