ある日、会社で偶然彼を見つけた
彼は僕を見つけるや否や僕を引き止める
拘置所以来、面と向かって話した僕たち
キラキラした綺麗な目で僕を見つめてこないで
なぜか、心の氷が溶けていくようで怖いから
僕は、彼からの呼びかけを無視して
颯爽と会社を出た
会社を出た後、迎えの車に乗り込んで外の景色を見る
一度騙された相手に心が揺れるなんて
ピコン
その時スマホの画面が明るく開く
"フィリックス様からの招待状”
通知を押すと
"水族館へのご案内”
と書かれていた
水族館に到着するとそこには彼がいた
彼のスマホには僕と同じ招待状が表示されている
その時、目の前の水槽に結婚式の動画が流れる
そこには、僕と彼がいた
そう言って係員は彼と僕に大きな花束を渡す
僕はふと手元の花束のメッセージカードを見る
"僕に記憶がないからって
挙式をしないのはダメ
せっかくだから盛大にやるこど"
彼の左手には痛々しい切り傷が残っていた














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。