☆11☆
バタンッッッ!!!
勢いよく閉められたドア。
薄暗く静まった 部屋。
流星の乱れた息遣いと、掴まれた手首。
流「もう…無理やわ…」
その言葉で、私は覚悟した。
きっと「彼女が出来たから」とか「いままでみたいに仲良くは出来ない」とか…
言われる。
流「望と仲ええとか…」
〇「…は?」
キツめに握られていた手首が緩むと…
両手を そっと取った。
流星が…私を見つめてる……
その綺麗すぎる瞳に、今にも好きだと言ってしまいそう…
流「俺、今まで ずっと…〇〇の側に居ったやろ?」
〇「うん。」
流「せやから、〇〇が離れるなんて考えた事無かった。……けど…
流「望が〇〇の事、綺麗だの言うて…」
流「嫌なんや。〇〇が他の男と仲ようするん。」
〇「流星…」
☆12☆
流「〇〇じゃなきゃ、ダメなんや…」
流「せやから ずっと…この先も、ずうっっっと!俺の側から、離れんで欲しい。」
流星から、そんなこと言われるとは思ってなかったから…
こんなにも…
こんなにも…
嬉しいことが……あるんだと…
嬉しくて嬉しくて、ホントに嬉しくて…
その ひとつひとつを大事にしたくて…
堪えてた涙が、少しずつ溜まっていく。
「…うん。」
そう応えた瞬間…
繋いだ両手に涙が落ちた。
流「えっ?ホンマ?」
〇「うん。ホンマw」
流「はぁ〜良かったぁ〜〜」
流星の顔が、ホッとした笑顔に変わる。
流星が、繋いだ両手を引くと、私は流星の胸に飛び込んだ。
流星の鼓動が聞こえる。
これを、ぬくもりって言うんだな…
私は流星の存在を再認識した。
☆13☆
流「だって、“あんな綺麗な人、放っておくなんて考えられへん!”とか言うし…」
〇「え、えっ?」
流「望に〇〇の良さを気付かれてん…そりゃ、焦るやろぉ〜」
〇「えっ?望くん?」
流「…何期待しとんねん!」
〇「別に期待なんてしとらん!」
流「ホラやっぱり〜俺のが移っとるやん!」
〇「っ!……………そ、そうだよ//…」
流「っ//…急に素直になんなよ…反則やで//」
〇「だって、そうなんだもん…」
流「ふふっw そっか!嬉しい♡」
私と違って、素直な流星。
こんな私を、いつも大切にしてくれる。
流「俺、明日 告ろうと思っとったのになぁ〜」
〇「えっ?」
☆14☆
流「望の事が無くても…今までも これからも、〇〇と一緒に居りたいって思っとったからな。」
〇「私もだよ!明日…流星の誕生日に……ふふっw」
同じ事、考えてたんだ。
私たち。
流「なに笑ってん?」
〇「フラれると思ってたからw」
流「そんなん絶対 無いわ〜」
〇「そっか…ふふっw」
幸せ♡って、ニヤけるんだなw
そんなダラシないニヤけ顔を、うつむいて隠した。
部屋が静まると…
流「〇〇?」
って呼ぶから…
〇「ん?」
って顔を上げたら…
一瞬 真面目な顔の、めっちゃイケメンが見えて…
唇に…ふわっ………と触れた…
☆15☆
♪〜『告白』
この人かな? この人かな?って思う毎日が
この人だ!この人だ!って 変わってく変わってく
あの胸がつぶれそうな 初めてのキスをした日
まだ知らない ふたりの未来 見たような気がした
許さないと言う方が許すよりも簡単
どっちも苦しいとして あなたなら ね、どうする?
愛し合って 求め合って 過ぎる日ばかりじゃない でもそれが
まだ知らない ふたりの未来に繋がっていくなら
いつか やってくる生涯最後のキスをする日
この人だった! この人だった!って 思うはず
思うはず………ぜったい
by 吉田美和〜♪
流「〇〇となら、最後までこうしていられそうや//」
〇「うん// 私も、そう思う//」
☆fin.☆
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。