第16話

結ばれる想い
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2022/07/23 01:33
雲一つない真っ青な空の元、屋上に降り立つとそこには雨宮くんがいた。

「花山」

「お待たせ、雨宮くん」

雨宮くんの隣に歩み寄りトクントクンっと鳴る胸に手を当てる。

大丈夫。ちゃんと言える。

わずかな沈黙の後、「花山」と雨宮くんが私を呼んだ。

「な、なに?」

「顔、真っ赤だけど。具合悪い?熱あるとか?」

マズい。緊張で顔が赤らんでる。

雨宮くんがスッとわたしのおでこに手を伸ばした瞬間、わたしは雨宮くんの手から逃げるように体を離した。

「あっ、あの……」

「ごめん、急に触ろうして」

「ち、違う!!触ってほしいの!!」

「……触ってほしい?」

「じゃなくて!」

「ん?どういうこと?」

「あのね、私……雨宮くんに伝えたいことがあって……」

「それ、俺が先に言いたいんだけど」

「え……?」

私と向かい合うと、雨宮くんが真っすぐ私を見つめる。

目が合うと心臓がトクンっと鳴った。

「俺、花山が好き」

「……っ」

「俺と付き合ってほしい」

信じられない雨宮くんの言葉に心臓が壊れちゃいそう。

「……しも」

「え?」
「私も……雨宮くんが好きです」

「……それ、本当に?」

「本当だよ……」

「じゃあ、今俺がおでこ触ろうとして逃げたのは嫌だからじゃないってこと……?」

「も、もちろん。嫌なんかじゃなくて……ただ雨宮くんだから意識しちゃって恥ずかしくて……。それで……」

言い終わる前に雨宮くんがハァと盛大な溜息をついて髪をクシャクシャっといじった。

「あ、雨宮くん……?」

「なんだ、そうだったのか」

雨宮くんはポツリと呟くように言うと、わたしの手をギュッと掴んだ。

「嫌、じゃない?」

「う、うん」

「これも?」

雨宮くんはそう言うと、わたしの体に腕を回してギュッと力強く抱きしめた。

ふわっと鼻に届いた雨宮くんの香水の甘い匂いにめまいがしそうになる。

ドキンドキンっと胸が高鳴る。

「嫌じゃないよ……」

「よかった。ずっとこうしたかったんだ」

雨宮くんの声が耳元でする。今にも倒れてしまいそうなほど刺激的で心臓が壊れてしまいそうなぐらいバクバクと暴れ出す。

「えっ、まっ……」

雨宮くんはスッと回していた腕の力を弱めると、わたしの顔を覗き込んだ。

茶色く澄んだ瞳にわたしの姿が映っていると思うだけで胸の鼓動が尋常じゃないぐらいに早まる。

「雨宮くんがわたしのことを好き?それって両思いってこと?」

「そういうこと」

雨宮くんはそう言うと伏し目がちになった。

あっ、これ……前にもあった。

雨宮くんの顔がわたしの顔に近付いてくる。

甘くて静かな心地の良い時間。一緒に日直をした日と決定的に違うのは、わたしと雨宮くんの気持ちが通じ合っているということ。

雨宮くんに触れたい。そして、わたしに触れて欲しい。

わたしたちはどちらからともなく引き寄せられるように唇を重ね合わせていた。

初めてのキスは心臓が飛び出てしまいそうなほどドキドキしたけど、それ以上にとっても幸せだった。

「好きだよ、花山」

唇を離すと雨宮くんは優しい声で再びわたしの欲しい言葉をくれた。

「わたしも雨宮くんが好き……。大好き……!」

自分の口から零れた言葉にきっと今、自分自身が一番驚いているだろう。

コミュ症のわたしが大好きな人に気持ちを伝えているなんて……。

雨宮くんとの出会いがわたしをこんなにも変えてくれたんだ。

「そんな可愛いこと言われると、とまんなくなる」

「……っ!」

「今……すごい幸せなんだけど」

「ふふっ、わたしもだよ」

眉間にしわを寄せた雨宮くんの余裕のなさそうな表情に胸がキュンっとする。

目が合うと、雨宮くんは目を細めてにこりと笑った。

いつもクールな雨宮くんがそんな顔するなんて反則すぎる。

「っ……」

雨宮くんは何度も何度もわたしの唇にキスの雨を落とす。

そのたびに、私の胸の中は幸せで一杯になった。

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