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小説
ミステリー
大病院占拠
占拠67
…そこに公安警察がやって来た
公安が?
その当時、 世界で人の記憶を消すという技術が注目されていた。 事件や事故に遭った被害者が、 嫌な記憶を思い出さないよう、 完全に事件の記憶のみ消すことが出来ると言われていた
乃楽さんの場合、 まだ幼かったため、 完全に記憶を消すより、 和らげる方が体への負担も少ない。 和らげることで乃楽さんが元の生活に近い状態になれるのでは。 と、 ご両親の承諾も得て、 その技術を日本で初めて取り入れた
だがそれは失敗に終わった。 違いますか?
…その通りです。 事件の記憶はなくなったものの、 それ以前の記憶、 孤児縁に居る頃の記憶までもなくなってしまった
…だから、 消された…
20年前. 病院
…ん、
あなたの下の名前ちゃんっ!
あなたの下の名前ちゃん! 目覚めたか?
新しい私のパパとママ。 ___くんはいないのかな? …___くんの名前が思い出せない。
…ここ、 どこ?
此処は、 病院よ
びょ、 ういん?
病院なんかで私は何をしているんだろう…。
しばらくして、 お医者さんが来た。
あなたの下の名前ちゃん、 自己紹介できるかな?
じこ、 しょうかい…?
お名前、 言えるかな?
…なら、 あなたのひらがなで名前…
ママとパパのことは覚えてる?
うん
じゃあ、 何かほかに覚えてる事あるかな?
覚えていること。 なにかないかと考えていると、 誰かと桜を見ているのを思い出した。 4人の自分よりも背が高い人だった。
…さくら
桜…?
桜、 誰かと見たの?
うん…けど、 だれかわかんないの
そう言って私は泣き出した。 それから今日まで。 私は思い出せなかったんだ。