遊佐くんとのイチャイチャタイムは、
ヒカルくんにあっさりと阻止されてしまった。
そして私は遊佐くんから引き剥がされ、あれよあれよとイズミさんに別荘へと連行された。
ボインと胸を張ったイズミさん。
ゴージャスな部屋には、額に入れられ飾られたパンツ、パンツ、パンツ……。
そう言ってイズミさんは、パンツ入りの額縁を丁寧に拭いた。
図星をつかれた彼女はガックリと肩を落とした。
イズミさんの顔が徐々にほころぶ。
肩を落としていたのが嘘のよう、イズミさんの目は爛々と輝いていた。
気づけばお互い笑い合って、スケベ談義に花を咲かせていた。
イズミさんはコソリと私に耳打ちした。
イズミさんは悔しそうにしながらも、4次元谷間から地図を取り出した。
リリリ……と夏の虫が鳴く夜。
私は忍者のように息をひそめ、遊佐くんが借りているらしいコテージの前にいた。
コテージは真っ暗で、遊佐くんは寝てるみたい。
脳内のリセイウチがうるさい。
でもその裏でスケベアー達はいそいそと赤飯を炊き始めた。
カチャリ。
音をたてないように、コテージの中に侵入する。
ギシ
ギシ
軋む床のせいで背中に汗が伝う。
こんなところで、おじいちゃん直伝の忍び足が役に立つとは。
寝息を立て上下する布団に手を伸ばしたその時――
一瞬のことだった。
ベッドに引き込まれ、遊佐くんの腕の中にホールドされてしまう。
不意打ちのスケベ展開にスケベアー達は赤飯の早炊きボタンを連打する。
低くかすれた声に、キュンを通り越して胸がギュンとなった。
ぐい、とベッドに押し付けられ、彼が私を見下ろす。
私の脚の間に遊佐くんの膝が押し入って、動けない。
近づいてくる遊佐くんの唇が、窓からの月明かりに照らされスケベすぎる。
目は近づく彼の唇に釘付け。
スケベアー達も大興奮で、赤飯をスタンバイ。
そして溢れ出る鼻血。
ボスリ。
遊佐くんの重みがカラダにのしかかる。
彼は私を下敷きにしたまま、すうすうと寝息をたて眠ってしまった。
彼を退かそうにも思った以上に力が強く、身じろぐと足を挟み込まれホールドされた。
無防備な寝顔の遊佐くんは、どうやら夢の中らしい。
トゲかーーーーーーーーい!!!!
ひたすら悶々としたまま、私は一睡も出来ず朝を迎えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。