第10話

真夏の夜這い大作戦!
6,265
2019/06/07 09:05

遊佐くんとのイチャイチャタイムは、
ヒカルくんにあっさりと阻止されてしまった。


そして私は遊佐くんから引き剥がされ、あれよあれよとイズミさんに別荘へと連行された。
イズミ
イズミ
べ、別に庇ってほしいなんて
私は言ってないから!
イズミ
イズミ
……でも、パンツ盗んだこと
黙っててくれて、ありがと
心美
心美
いや、それよりこれ全部
遊佐くんのパンツですか?!
イズミ
イズミ
よく気付いたわね、
私のコレクションよ!

ボインと胸を張ったイズミさん。

ゴージャスな部屋には、額に入れられ飾られたパンツ、パンツ、パンツ……。
心美
心美
え!!この小さいパンツって!
イズミ
イズミ
それに目をつけるのね。
理人が中1だった頃のパンツよ!!
幼さの残る究極の代物なの
心美
心美
み、水玉模様!?
遊佐くんこんなの履いてたの?!
ちっちゃいし、可愛いし、ほしい!!
イズミ
イズミ
ちょ、触らないでよ!!
汚れるじゃない!
そう言ってイズミさんは、パンツ入りの額縁を丁寧に拭いた。
心美
心美
でも、額なんかに入れて……
パンツが可哀想
イズミ
イズミ
何言ってるの?
額は特注品よ?!
心美
心美
イズミさん……
心美
心美
このパンツ達が一番映える場所は
遊佐くんのお尻です!!
イズミ
イズミ
!?
心美
心美
それに
これはれっきとした犯罪ですよ!!
イズミ
イズミ
うっ……

図星をつかれた彼女はガックリと肩を落とした。
心美
心美
私が正しいスケベの使い方を
お教えします。
イズミ
イズミ
正しいスケベ……?
心美
心美
そうです。スケベは誰かを不快にさせるためのものじゃないんです!
心美
心美
スケベはエネルギー!
スケベは生命力!!
イズミ
イズミ
生命力?
心美
心美
そう、心が落ち込んだ時
スケベはいつも私を救ってくれるんです
イズミ
イズミ
そんなのあなただけよ
心美
心美
騙されたと思ってやってみてください!
心美
心美
ほら、想像してーー
柔らかくてムッチリしていて、
少し筋肉質な……遊佐くんのお尻…
イズミ
イズミ
柔らかくて……ムッチリ……
そうね、理人のお尻は鍛えてるから
引き締まってて、きゅっとしてて
イズミさんの顔が徐々にほころぶ。
心美
心美
そうです!!それに腰だってーー
イズミ
イズミ
腰!!腰は最高よ!
理人は鍛えてるから少しくびれてるの!
でも、細すぎってわけじゃないのよ!!
肩を落としていたのが嘘のよう、イズミさんの目は爛々と輝いていた。
心美
心美
元気になりました?
イズミ
イズミ
……あ
心美
心美
今みたいに発散すれば
パンツなんか盗まなくて済みます
イズミ
イズミ
ぷっ!あはは!!あなた変!!
胸の栄養、全部その妄想力にいったんじゃない?
心美
心美
Eカップだからって、失礼ですよ!
イズミ
イズミ
なんで私のカップ知ってるのよ?!

気づけばお互い笑い合って、スケベ談義に花を咲かせていた。
イズミ
イズミ
ねぇパンツ返す時、側にいてくれない?
心美
心美
はい!もちろんです
イズミ
イズミ
じゃあーー

イズミさんはコソリと私に耳打ちした。



心美
心美
よ、夜這いしろ!? 
イズミ
イズミ
私、借りは嫌いなの。
理人の泊まってる場所教えてあげるから、これでチャラね

イズミさんは悔しそうにしながらも、4次元谷間から地図を取り出した。






リリリ……と夏の虫が鳴く夜。

私は忍者のように息をひそめ、遊佐くんが借りているらしいコテージの前にいた。


コテージは真っ暗で、遊佐くんは寝てるみたい。
心美
心美
(ごくり……助平心美、今から遊佐くんを襲います!!)
リセイウチ
リセイウチ
嬢ちゃん……
不法侵入も、れっきとした犯罪やで

脳内のリセイウチがうるさい。

でもその裏でスケベアー達はいそいそと赤飯を炊き始めた。




カチャリ。

音をたてないように、コテージの中に侵入する。



ギシ

    ギシ



軋む床のせいで背中に汗が伝う。

こんなところで、おじいちゃん直伝の忍び足が役に立つとは。


寝息を立て上下する布団に手を伸ばしたその時――
遊佐
遊佐
お前、何してんの
心美
心美
うわ!
一瞬のことだった。

ベッドに引き込まれ、遊佐くんの腕の中にホールドされてしまう。


不意打ちのスケベ展開にスケベアー達は赤飯の早炊きボタンを連打する。
心美
心美
起きてたの?!
遊佐
遊佐
何しに来たんだよ
心美
心美
よ、夜這いを少々……
遊佐
遊佐
はーーー。俺が我慢しようとしたときにこれかよ……
心美
心美
我慢?
遊佐
遊佐
お前のこと、大事にしたいの

低くかすれた声に、キュンを通り越して胸がギュンとなった。
遊佐
遊佐
今日2回も溺れただろ。大丈夫かよ?

ぐい、とベッドに押し付けられ、彼が私を見下ろす。

私の脚の間に遊佐くんの膝が押し入って、動けない。
心美
心美
(この態勢、刺激が……)
遊佐
遊佐
俺がどんだけ心配したか
……わかってんの?

近づいてくる遊佐くんの唇が、窓からの月明かりに照らされスケベすぎる。
心美
心美
(襲うつもりが、も、もしかして襲われちゃうの―――?)

目は近づく彼の唇に釘付け。

スケベアー達も大興奮で、赤飯をスタンバイ。


そして溢れ出る鼻血。





ボスリ。
心美
心美
え、遊佐くん?

遊佐くんの重みがカラダにのしかかる。

彼は私を下敷きにしたまま、すうすうと寝息をたて眠ってしまった。
心美
心美
(えええ?!また、おあずけなの!?)

彼を退かそうにも思った以上に力が強く、身じろぐと足を挟み込まれホールドされた。
心美
心美
(いやああああ!!これじゃ動けない!触れないし、襲えない!)
遊佐
遊佐
言う事、聞いて……
心美
心美
え?起きた? ……寝言?

無防備な寝顔の遊佐くんは、どうやら夢の中らしい。
遊佐
遊佐
ほら……力抜いて
心美
心美
(え?! 何の夢見てるの?!)
遊佐
遊佐
…痛く、しないから……
心美
心美
(い、痛くしないってまさかーー)
遊佐
遊佐
……ん、ほら…
心美
心美
(ほ、ほら……?)
遊佐
遊佐
……トゲ、抜けたよ


トゲかーーーーーーーーい!!!!

ひたすら悶々としたまま、私は一睡も出来ず朝を迎えた。

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