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第4話

階段の踊り場で首筋にキス×××?!

遊佐くんを突き飛ばしたあの日から、ずっと話しかけられずにいた。

スラリと背の高い遊佐くんが門の向こうに見えて、思わず木陰に隠れてしまう。


今朝もまた虚しく木に向かって挨拶の猛特訓。
心美
心美
お早うございます
先日は申し訳なく思っており、
もう今後あの様なことは……
心美
心美
(ぅう…これじゃ、かたすぎるっ!!)
心美
心美
遊佐っち、おはっ!!
この前はまじごめん☆
心美
心美
(ってこれじゃ軽すぎ!?)

全くいい挨拶が思いつかず、頭を抱える。
リセイウチ
リセイウチ
そもそも、嬢ちゃんが謝ることちゃう
心美
心美
(でも……遊佐くんの傷ついた顔、
もう見たくないから)
リセイウチ
リセイウチ
あの男は分かってへんのや!
嬢ちゃんがどんな気持ちでスケベを封印しとんのか!

でも、やっぱり謝りたいーー。


この足音……遊佐くんだ!

私はリセイウチの声を無視し、木陰から飛び出した。
心美
心美
こ、この前はごめんなさい!
それから、おはよう!!
ヒカル
ヒカル
ぅわ!!びっくりした……おはよう
心美
心美
眩しっ!! え……会長?!

無意識で閉じていた目を開けると、朝日より眩しいキラキラオーラがあった。

遊佐くんはというと、まだはるか向こうの校門で先生と会話をしている。
ヒカル
ヒカル
ていうか、もう謝らないで……
またグサっときたよ
ヒカル
ヒカル
そうだ!
蕁麻疹に効くハーブティー!
ちょうど家にあったから飲んで?
心美
心美
いいんですか?
ヒカル
ヒカル
もちろん!
色々と調べてみたんだけど、蕁麻疹には心因性のものもあるみたいなんだ
ヒカル
ヒカル
最近、ストレスとか何か思い当たることはない?
心美
心美
最近は、スケベを封印したくらいで…
心美
心美
あ!! 
もしかして蕁麻疹も
そのせいだったのかも!

思い当たる節はたくさんある。

謎の胸の痛みや、違和感……。
ヒカル
ヒカル
……そっか
はぁーー、良かったーー!
てっきり僕のせいかと

ヒカル会長は大きく息を吐いて、ふわりと笑った。
ヒカル
ヒカル
これからは何でも言って?
心美ちゃんのためなら何だってするよ
心美
心美
……え?
ヒカル
ヒカル
え!? あ、いや、弟の彼女だし!
心美
心美
(あ……遊佐くん、こっちに来る!)
ヒカル
ヒカル
や、別に深い意味はないからね?!
心美
心美
(まだ心の準備が……!)

とっさにヒカル会長の背に隠れてしまう。

ヒカル
ヒカル
え?!心美ちゃん?!
遊佐
遊佐
邪魔
心美
心美
え…

通り過ぎざまに呟いた彼の声が、グサリと胸に突き刺さった。

遊佐くんは私と目も合わぜず、スタスタと足早に真横を通り過ぎていく。

邪魔

   邪魔

      邪魔

         邪魔ーーーー

エコーする遊佐くんの言葉が、すっかり脳内にこびりついてしまった。








紗季
紗季
心美、そこ、鼻の穴だよ

なんだ、おにぎりの味がしないと思ったら……。
米粒と梅干しがボトリと鼻の穴から落ちた。
紗季
紗季
で?

話せと言わんばかりにこちらを見つめるさっちょん。

私は米粒を拾いながら、ぽつりぽつりと話す。
紗季
紗季
スケベ封印、ね……
紗季
紗季
ねぇ、遊佐はさぁ、スケベも含めて
今の心美が好きなんじゃないの?
心美
心美
……え!?
心美
心美
(そんなこと考えたかことも無かった)
リセイウチ
リセイウチ
そんなこと絶対あらへん!
心美
心美
そう、そんなことないよ……
紗季
紗季
遊佐がそう言ったの?
心美
心美
遊佐くんが言ったんじゃないけど……
紗季
紗季
ほら、意思疎通できてないじゃん
ちゃんと話してきな

そしてさっちょんは軽く私のおでこをこづいた。
紗季
紗季
ここにある言葉、全部伝えてきな
遊佐、呼び出してあげる
心美
心美
さっちょーーーーーーん!!

目の前のイケメン女子に思わず抱きついた。




放課後、さっちょんのはからいで、私達は人気ひとけのない階段の踊り場で待ち合わせた。


コツリコツリ、と遊佐くんのローファーの高い音が近づいてくる。

朝は間違えたけど、今回は遊佐くんの音だ。

私はその足音に向かって叫んだ。
心美
心美
ごめん!
遊佐
遊佐
ごめん!

ごめん、がハモってしまい互いに見つめ合う。
心美
心美
……え?
遊佐
遊佐
あーー、くそ
俺が先に謝りたかったのに

乱暴にメガネを外した遊佐くんは、じっとまっすぐにこちらを見つめた。
遊佐
遊佐
ごめん! 俺、焦りすぎた

深く頭を下げる遊佐くんの声が、少し震えている。
遊佐
遊佐
でも……

ふわりと長い腕が背に回った。

いつもより柔らかいハグにドキリと胸が高まる。
遊佐
遊佐
こんくらいは、許して?
心美
心美
遊佐くん……私の方こそ、
突き飛ばしたりしてごめんね
遊佐
遊佐
いや、俺こそ。焦ってたんだ
お前が避けるから、ついムキになって
心美
心美
私もスケベを封印するのに必死で……
遊佐
遊佐
それに今朝も、お前がアイツと
楽しそうに話してるからムカついて
遊佐
遊佐
邪魔だって…
そこは俺の場所だって思ったんだ
心美
心美
(え……それって、ヤキモチ?!彼氏が彼女にするというあの……?!なんだろうすごく嬉しい……)
心美
心美
そう、だったんだ…
遊佐
遊佐
これからは、ゆっくり迫るから
嫌がるようなことはしない……

優しく、ぎゅうっと抱きしめられた。
遊佐くんの声はなんだか泣きそう。

首筋に甘えるように頭を埋めた遊佐くんは、なんだか幼い子どもみたい。

だから、完全に油断していた。
遊佐
遊佐
だから、嫌なときはちゃんといやって言えよ?
心美
心美
うん

そう答えた瞬間、首筋に何か柔らかい感触。

そして微かなリップ音とチリリと痛みが走った。
心美
心美
ひゃあ!!!
心美
心美
(い、今の、キス……?!でもなんかいつもと…キスされたとこ、熱い!)
遊佐
遊佐
ごめん
俺、独占欲強いみたい

ぺろりと舌をだし笑った遊佐くんは、お茶目なのにお色気MAXだ。


キスの跡が痺れて、トクトクと脈を打つ。

その脈に合わせてポン!ポン!ポン!!とスケベ心が産まれた。
スケベアー1号
スケベアー1号
スケベの化身、スケベアー1号参上!
スケベアー2号
スケベアー2号
2号、参上!
スケベアー3号
スケベアー3号
3号、参上!!

パアン!!

パアン!!


パアン!!
リセイウチ
リセイウチ
嬢ちゃん、ワシに任せーー
心美
心美
(もうやめて!!)

私は思わず脳内で叫んでいた。
リセイウチ
リセイウチ
……嬢ちゃん?
心美
心美
(私にはスケベが必要なの。だからもう、消さないで)
リセイウチ
リセイウチ
そ、そんな……

リセイウチはカタリ、とライフルを落とした。
遊佐
遊佐
おい、どうかした?
心美
心美
遊佐くんは彼女がスケベでもいい?
清らかで可愛い彼女じゃなくていい?
遊佐
遊佐
何言ってんだよ
俺はお前がいいの

遊佐くんは幸せそうにキスした場所を優しく撫でた。
心美
心美
(そうか、スケベでいいんだ…遊佐くんのお尻も触りたい放題?!)

そう思うと、胸のわだかまりがすっと消え去った。






リセイウチ
リセイウチ
嬢ちゃんは騙されとんのや……
せや、ワシが嬢ちゃんを守るんや……

脳内で呟くリセイウチの声は、遊佐くんのお尻に胸躍らせる私には聞こえなかった。