目を覚ますと…
見知らぬ天井が見える
寝ぼけたことを考えながら
重たい体を起こすと
そこは知らない部屋で
そう言って小さなソファから体を起こし
だるそうにしながら近づいてくる男の人
混乱する私を置いて大きな骨ばった手が額に触れた
……熱…………?
そう言って人差し指で軽く押され
私はボスッと布団に倒れ込んだ
それだけ言い残すとアネモネ男は部屋を出ていった
"帰さない"
初対面の男性にいきなり言われたらドン引くセリフだが
今、帰る場所のない私にはとても都合のいい言葉だった
残された部屋で私は必死に昨日の記憶を手繰り寄せた
不倫現場(?)に出くわし
家を飛び出して
見知らぬ公園のベンチで泣いて
気づいたら雨が降ってて……
いや、今考えたら私だいぶ痛くない?←
やってる事反抗期の中学生じゃん……
なんて考えていると
そう言ってお粥の入った器を差し出す
昨日初めて会ったばかりなのに
お互い名前も知らないのに
何で……
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!