『荼毘side』
ぎゅっと抱きしめた時、鈴蘭の首に何か金属が下げられていることに気付き、服の中から引き出してみる。
あなたが、大事にしていたペンダントだった。
「けどね、パパとママの写真が入ってるんだって…!」
そうか、あん時の写真、まだ持ってたのかあいつ。
これなら、これなら納得させられる。
信じられないといった顔つきで俺の顔を凝視する鈴蘭に、ペンダントを開けるよう促す。
震える手で、そっとペンダントを開けると、満面の笑みを浮かべたあなたと俺がいた。
すっかりはしゃいで、抱きついてくる娘が愛おしくてたまらない。
でも、ふとあなたのことを思い出したかのように泣き始めた。
「すずは…ヒーロー、許さない。」
そうして怒りに満ちた鈴蘭は、母親の仇を取るべく、ヴィランになる道を選んだのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。