第20話

「ありがとう」
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2022/12/26 02:02
高見沢くんは私が泣き止むまでずっと待っててくれた。
何も言わず、ただ優しく見守ってくれていた。

「本当にごめんなさい。もう大丈夫。」

泣き止んでからそういうと、彼は額を指で小突いてきた。

「痛っ!」
「そういうときは"ごめん"じゃなくて"ありがとう"な。」
「うん……。ありがとう。」

私がそういうと彼は微笑んでくれた。

(あぁ。私はきっと高見沢くんのこの顔に弱いんだ。この顔を見るとなんだか安心する……)

「ここにいても風邪ひくから、俺の家行こうぜ。」

そういいながら彼は私に手を差しのべてきた。
今度はしっかりとその手を受け入れる。

彼の顔を見ると、どこか満足気な表情で私を見ていた。














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