第8話

第八話
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2020/03/18 16:19
さとみ
さとみ
えっ…………
さとみ
さとみ
なぁ、お願いだから…………もう…………
友達
友達
「お願い」じゃなくて「お願いします」だろ?なぁ?


ガッ


さとみ
さとみ
いたっ………………お願い……します…………
友達
友達
ははっ!俺に謝りたいんなら飛び降りな!
そう言って奴は、教室の窓を指差した。

友達
友達
わかんねぇの?

「死ね」って言ってんだよ!

そう言って奴は再びさとみくんを蹴り飛ばした。


もう、見てられないかも。

どれだけ頼って欲しいと強く願っても、ただただ僕に謝ってばかりで、「ごめん」しか言わない。

さとみくんもわかっているのだろう。僕がいじめを仕掛けた意味。



さとみくんがいじめられれば、きっと僕に頼ってくれると思ったから。

さとみくんが悪いんだ。さとみくんが僕の事を好きじゃなかったから。

まだ僕は、さとみくんにとって"友達"だったから。

僕がさとみくんを助けてあげれば、きっとさとみくんは僕のものになる。

なのに、彼は僕になんにも言わない。


何も言わないなら、僕が助けてあげなくっちゃ。





ころん
ころん
……理不尽だな。
友達
友達
…………は?
ころん
ころん
いやだから、理不尽だなって……わかんないの?そんな頭悪かったんだぁ。
友達
友達
あ?お前が何言ってんだよ。
ころん
ころん
僕が言って悪い事ある?

てか、もうやめてあげなよ…みっともないよ。ゴミみたい。
友達
友達
チッ……なんだよ…………!
さとみ
さとみ
……………………って、
奴が僕を殴ろうとした時、さとみくんが口を開いた。
さとみ
さとみ
待って…………、もう、いいから…………もう終わりにするから…………

ごめん、……ごめんな…………ころん…………
ころん
ころん
…………さとみくん?



その時、彼は窓から飛び降りた。

今まで見て見ぬふりをしていた女子達も、その瞬間悲鳴をあげた。

獣たちでさえも、漠然としていた。


ころん
ころん
ねぇ、待って…………さとみくん……?

待ってよ…ねぇ………………
友達
友達
……………………
ころん
ころん
ああぁぁぁぁぁぁぁぁあ!


もう何もかもどうでも良くなった。

僕は今まで出したことの無いような大声を上げて、学校を飛び出した。

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