第7話

第七話
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2020/03/18 15:56
9月の初めのチャイム。




教室には、秋の風が流れ込んでいた。

僕は今日もここで一人、静かに本を読んでいた。


さとみ
さとみ
ッ…………! やめろよ!


あーあ、まただ。またこの声。

僕の次の標的。



生徒
生徒
クスクス…………
友達
友達
なんだ、これ返して欲しいのか?

ほれ!!


僕の昔の友達が、さとみくんのピンク色のキーホルダーを外へ投げ捨てた。

さとみ
さとみ
あっ……!それは!
友達
友達
ははっ、無様だな!
さとみ
さとみ
…………
生徒
生徒
おーい!帰ろうぜ!
友達
友達
おうよ!


そう言って獣たちは教室から出ていった。


さとみ
さとみ
………………それはッ…ころんの…………



そんなもの、もう持ってても意味なんてないのに。


僕はゆっくり立ち上がって、さとみくんに話しかけた。




ころん
ころん
さとみくん。
さとみ
さとみ
ごめん……………………
ころん
ころん
んーん。いいの。



僕の次の標的はさとみくんだった。

もしかしたら、僕より酷い事をされていたかもしれない。

でも、僕はそんなことどうでもよかった。


ころん
ころん
(ねぇ、僕に頼ってよ)



心の中でそう呟いても、さとみくんは僕に助けを求め無かった。

だって、仕掛けたのは……………………



……………………僕だったから。

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