第5話

episode ストラップ
342
2019/12/02 07:12
その日の夜ー

志桜里はと言うと、自分の部屋の小物入れを漁っていた。
志桜里
志桜里
うーん…蜜璃さんは…クローバーかな。
志桜里
志桜里
しのぶさんは…蝶だよね。
ガサガサと音を立てて、小物入れの中をかき回す。
志桜里
志桜里
あった…!クローバーと蝶のシリコン型…!
満面の笑みで小さなシリコン型を並べる。引き出しからレジン液とUVライトを取り出し、机の照明をつけた。
甘露寺蜜璃
甘露寺蜜璃
作って来てよ!私としのぶちゃんのストラップ!
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
迷惑でないのなら…私のストラップも作っていただけないでしょうか?
高校に入学式した初日に話しかけてくれた女子2人。それに、男の子にも話しかけてもらえた。まさかこんなことになるなんて想定外だ。
志桜里
志桜里
っ。
志桜里
志桜里
杏寿郎くんのも作ろうかな。
杏寿郎のイメージといえば…
煉獄杏寿郎
煉獄杏寿郎
君があそこで勇気を出せたからな!それが嬉しい!
煉獄杏寿郎
煉獄杏寿郎
君はあの時、俺の発した言葉を受け取ってくれたじゃないか!それが嬉しいのだ!
志桜里
志桜里
志桜里
志桜里
…炎?
そうだ、炎だ。出会ってまだ日も経っていないが、あの熱血さと明るさから想像出来るイメージと言ったら、“熱い炎”だろう。
志桜里
志桜里
うーん…炎のシリコン型持ってないな…
志桜里
志桜里
…これで代用しようかな。
志桜里
志桜里
あとは…
志桜里はそう呟いて、大事そうにしまわれた箱を開けた。
そこから3つ、ストラップの1番大事な部品を取り出した。
志桜里
志桜里
ふふっ、綺麗。
照明にそれを照らす。キラキラと光るそれはまるで、3人の笑顔が詰まっているかのように煌めいた。
さあ、材料は揃った。高校生活で初めて話しかけてくれた3人に、とびきり綺麗なストラップを作ろう。そう心に決め、志桜里は作業に奮闘した。
志桜里
志桜里
(喜んでくれるといいな…。)

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