第4話
自己紹介も終わり、皆が帰り支度をしている。
一気に力が抜け、背もたれにもたれかかってしまう。
後ろから杏寿郎が話しかけてくる。その声は例えようがないくらいに陽気で、何かとても嬉しそうだった。
杏寿郎はニカッと笑い、志桜里の肩をポン、ポンと叩いた。
頬を少し赤らめて、ケラケラと笑う杏寿郎。その姿を、志桜里はじっと見つめた。
思わずはにかんでしまう。似合わない顔だが、今は別にどうでもよかった。
志桜里は立ち上がり、ロッカーの方へ歩いていった。
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今日は入学初日のため、午前中に帰宅。皆が同じ中等部だった子と帰っている。そんな中志桜里は高等部からの生徒だったから、初対面の志桜里に「帰ろう」と話しかけることはなかったのだ。
通学鞄の中身を確認する。今日もらった新しい教科書、筆箱、水筒。後は…
1番大切な物がない。高等部の通学鞄に付けようと思い、小さなポケットの中に入れていたのだ。
辺りを見回してみる。それらしきものはない。
その場に立ち尽くしてしまう。興味本位で材料を買って作った物だが、何年間もの志桜里の思いが詰まった大切な物なのだ。
とっくに生徒も帰ってしまい、もう帰ろうかと思ったその時、誰かの手が志桜里の目を塞いだ。
蜜璃は志桜里の顔を横から覗き込み、ぱっと笑う。
そして志桜里と目を合わせ、じっと志桜里を見つめる。
少し頬を膨らませ、不機嫌そうに言った。
後ろからしのぶの声も聞こえる。
しのぶは制服のポケットから綺麗にたたんだハンカチを取り出した。
そう言ってしのぶはハンカチを開いた。そこにあったものは、キラキラした雪の結晶のストラップだった。
しのぶが持っていたそのストラップは、紛れもない“大切な物”だった。
手渡されたストラップを受け取り、ギュッと握りしめる。
少し恥ずかしそうに、志桜里は伝えた。
その時蜜璃がはっ、と何か思いついた。
おそるおそる聞いてみる。
すると、2人は一瞬きょとんとして、2人で笑い始めた。
志桜里の頭の中は、いろいろ混乱しているが、心の中が、暖かい物で満たされた。
いかにも女子、という会話をしながら、3人は帰っていった。
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