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第1話

第1話:END
20
2019/08/26 04:18
出会いには別れもある。当たり前のことだと思う。いつかは死ぬんだろう。でももし最愛の人が死ぬ時を分かっていれば、あなたはどうしますか?











































???
???
んんっ……。
激しい体の痛みで、せっかく眠っていたのに起こされる。元々そんなに寝なくても大丈夫なのだが、やはりなにもすることがないので暇つぶしもとい時間つぶしと言い、最近は寝る時間が多くなった。
???
???
はぁ。本当になんにもない……。
起きては寝てを繰り返しているので体力がなく起き上がるのがやっとだ。
腰に手を当てて体を逸らして屈伸をするとゆっくりと手をついて起き上がり、視界にうつる天井と同じ真っ白の壁が目に入る。
そこには生活感というものがいっさいない。
なぜなら家具というものが全く置いていないからだ。
そもそも、自分の服しかないので周りにはただただ壁が広がっているだけなのである。
???
???
もう出るのも諦めちゃったや…。
悔しそうに歯を食いしばり自分の服をぎゅっと握りしめるとドアと呼んでいいか分からないが、大量のチェーンが絡みに絡み合い鉄格子まである、元はドアだったものをみて涙を流す。これでは外に出られないからだ。しかしトイレやシャワーといったものはあるので電気はなぜ通っているか分からないがとりあえず水には困らない。そして呆れたような表情で上記をつぶやくとまた、床に寝転がる。
―――――――――キリトリ線―――――――――
常磐 夜白
常磐 夜白
くそっ…!なんなんだよ、一体!?
もうどれくらい走っただろうか。心臓の鼓動がかなり早くなっている。汗もかなりかいて、水をそのままかぶったくらいの濡れ具合になっている。すると次第にぼーっとしてきて目眩がする。
常磐 夜白
常磐 夜白
ッ!?はぁ…はぁ……。
足が動かず、ずるずると引きずるように走りついには盛大に転んでしまう。それで体は限界を迎えたのか、ピクリとも動かなくなり自分の荒い息づかいだけが聞こえる。
???
???
…ん?
いつの間にか寝ていたらしい。ズキズキといつもの痛みを感じながら、目を覚ますと明らかに聞こえる誰かが走る音。しかもだんだん近付いてくる。そして、どしゃっという音が聞こえたあと、ピタリと先程の音は止む。滅多にここにはこないのか、久しぶりの音に嬉しくもしかしたら出してくれるかもと思い、叫ぶ。
???
???
あのっ!そこにいるんですよねっ!?
助けてください!!ここから出してくださいっ!!
無謀だと思った。これまでここを通った人には必ずと言っていいほど叫んで助けを求めている。しかし、全く誰も反応してくれない。でも、それでも、やめるわけにはいかない。今日が最後かもしれない。何となくそんな気がしたのだ。もう起き上がるのでやっとなのだ。何回も何回も咳き込みながら、声を枯らしてでも叫び続けた。必死だったのだろう。いつの間にか口から血反吐が出るようになっていた。でも、諦めきれなかった。泣き叫んでいたのだろう、頬を伝う涙の感触と口からする血の味。もうごちゃごちゃだった。頭も真っ白で、考えることも放棄していた。
???
???
おねっ…がいします……。
もう声も出なくなり、頭もクラクラしてきて、ついには床の上に倒れてしまった。
もうダメだ…そう思い、泣きながら笑ったあと静かに目を閉じる。

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