私は家に帰る前に寄り道をした。
寄り道をした場所、そこは……響が事故にあった場所。
私は周りに赤い車が無いか確かめた。
事故があってから、数え切れないほどここに来ている。
その時……!!
急に人の気配がした。
足音も気配も全く無かったのに急にとはおかしい。
私はすぐに後ろを振り向いた。
が、誰も居なかった。
私は気のせいかと思い、前を向き直した。
するとまた、人の気配がした。
私は奇妙に思い、すぐにその場から去った。
家に着き、鞄から携帯を取ろうとした時、鞄に変な物が付いているのに気付いた。
それが何かはすぐに分かった。
盗聴器だ……!
でも、いつ付いた?
家を出る前は付いてなかった。
響の部屋を出る時、確認はしてないが付ける時間なんて無いはず。
だとしたら、付けれるのは響のお母さんが私を抱きしめた時だけ。
あの時、嫌な予感がしたのはこのせいか。
私は鞄から盗聴器を取ると、床に置いてそのまま踏み潰した。
その後は鞄から物を全て取り出し、もう付いてないか確かめた。
何度も確認したが、もう付いていなかった。
『未優?そんなに散らかしてどうしたの?』
お母さんが台所から声を掛けてきた。
その時、私はリビングに居ることに気づいた。
言われるまで自分の部屋に居る気分だった。
『何でもないよ。じゃ、自分の部屋に居るから』
そう言うと、私は潰した盗聴器と鞄を持って自分の部屋に行った。
自分の部屋に入ると、潰した盗聴器をゴミ箱に入れてベッドに横になった。
そして、目を閉じた。
今、怪しいと考えられる人は響のお母さんのみ。
これから警戒しないといけない。
後、確かめたいのは響のお父さんが共犯なのか。
響のお母さんとお父さん、手を組んでいる可能性がある。
それを早く確かめないと。
私は色々考えているうちに、眠ってしまっていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。