〜病院〜
私が病院に行った時、手術中だった。
椅子には、奏のお母さんが泣きながら、祈ってた。
その隣に、知らない女の人と女の子がいた。
そして、『すいませんでした。私がこの子を見ていたら、こんな事には・・・』と言っていた。
私は、奏のお母さんに声をかけようと思ったが、今は、やめた。
その時、奏のお母さんは言った。
『奏は、優しい子なんです。だから、きっと、守ってあげたんですよ。あなたの子は、怪我は、ありませんでした?』
『大丈夫でした。本当にごめんなさい。』
『良かった。』
奏のお母さんは、優しい人だ。
きっと、その優しさは、奏でにも遺伝したのんだ。
その時、思った。
それと、同時に疑問も起きた。
奏は、小さい子を守って、事故にあった。
そう言うことだろうか?
話が終わったみたいだったので、私は、今来たかのように、奏のお母さんの方へ行った。
『奏は、生きてますか?』
私は、率直に聞いた。
『大丈夫だよ。きっと。』
奏のお母さんは、言った。
私は、もう1度聞いた。
『奏は、何で事故にあったんですか?』
奏のお母さんは、涙を拭いて、下向きながら話してくれた。
『奏は、その隣にいる子供を助けたのよ。車にひかれそうでね。そのかわりに、奏がひかれたの。』
そう言うと、また涙が出てきていた。
『奏は、優しいですね。だから、きっと、まだ生きてくれますよ。』
私は、目に涙が溜まっていて、もう溢れそうだった。
その時、手術中の光が消えた。
手術が終わったのだ。
奏は、どこかに運ばれていった。
そして、病院の人が来た。
『手術は、成功しました。だが、もしかしたら、後遺症が残っているかも知れません。すいません!』
病院の人は、頭を下げた。
奏のお母さんは、安心したような、驚いているような、顔をしていた。
『ありがとうございました。良かった・・・。』
私も、言った。
『ありがとうございました。奏、生きててくれて良かった。』
わたしと奏のお母さんは、奏のいる病室に行った。
子供とその子供のお母さんは、その後、『また来ます』と言って帰った。
奏は、5時間程して、目を覚ました。
その間の5時間は、学校の女子や男子が沢山来ていた。
奏が目を覚ますと、私は言った。
『奏、良かったね。生きててくれてありがと。』
でも、奏は、言った。
『誰?』
私は、『えっ。未優だよ。』と言った。
『知らない。』
奏は、言った。
すると、お医者さんが来て、『これは、一時的に記憶を失っているだけですね。個人差にもよりますが、すぐに思い出すでしょう。』と言った。
私は、悲しくて、泣いてしまっていた。
だから、私は、病室から出ていってしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。