もういいか…
一人になったって…もういい…もう…家族なんて…大切な人なんて居ないんだから……
私はマッチを見つけると、響のお母さんの身体に火をつけて去った……
大切な写真も全て犠牲にして…大切な物も…全て捨てた。
そして、なによりも大切な心までも捨てた…。
「自分から来たんだね…怖くなかったの?」
私が向かった先には響、奏とよく遊んでいた公園だ。
「ごめん、響…奏…さよなら…」
私はそう言い、銃で頭を撃ち抜いた…。
この銃は…いつの間にか机の引き出しに入っていたのだ。
「未優……ごめんな……こんな時だけど最後に言わせてくれ…俺は…お前が好きだ…ずっと昔から……それと、苦しみから解放してくれてあ、り、が…」
響が少し微笑んで言った。
「お前……こんなことして……後で後悔するだけだぞ!」
奏は私に近づいてきた。
私はなんの戸惑いも無く、奏の心臓を撃ち抜いた。
「てめぇ…」
奏は何か小さく呟き倒れた。
公園を見渡すと、血混じりの砂が広がっていた。
「今日はどこに泊まろうかな…」
そう呟き、私は公園を出て行った…
どこに行くのかも決めず、歩き始めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!