ここは夢の中だろうか?
真っ白で何もない世界に私だけが居る。
『未優!!危ない!』
誰かの声がした。
遠い昔に聞いたことのあるような感じがする。
その時だ!!
真っ白でなにも無かった場所から誰かの家に来てしまった。
その家には、血が飛び散っている。
それに、誰か倒れている……!
女性と男性だ。
その前には刃物を持った人がいる。
全身真っ黒な服装で、顔が隠れていて誰だか分からない。
私が見ていると、真っ黒な服装をしている人が私へと近づいてきた。
だが、私を通り過ぎて行った。
私は気になり、後ろを振り向くと、私がいた。
五年生ぐらいの私だろうか。
私が見てられなくて目をつぶった時、高校生ぐらいの男の人が私を助けた。
私はその人を「お兄ちゃん」と呼んでいた。
その時、その男の人は私に言っていた。
『家を出て逃げろ!助けを呼んで来てくれ!俺がこいつを止めてるうちに……。早く!』
すると、私は玄関まで走っていった。
その時、男の人は叫んだ。
『未優!絶対生き残れ!それと、今までありがとうな!』
そう言って、男の人は倒れた。
私はその事に気付かず、家から出ていった。
そして、奏の家まで私は走って行っていた。
奏の家まで無事に着くと、私は泣きながらもちゃんと説明していた。
奏の後ろにはもう一人居た。
奏と見分けがつかないほどに似ている。
私はその人を、「響」と呼んでいた。
そこで私はまた、真っ白で何も無い世界に戻された。
その直後、誰かの声がし出した。
『未優…。俺は奏だ。もう俺は死んでいる。気をつけろよ、未優。騙されるな!』
『未優!よく逃げきれたな!安心したよ…。だがな、この事件はまだ終わってない。犯人は捕まってない…。真犯人がいるんだ。未優は顔を見ただろう?』
『未優。ごめんね…。一人にしちゃって。でも、お母さんは未優をいつでも見守っているからね。だから、思い出して、全てを。そして、未優がこの事件を終わらせるのよ。未優しか知らない真実で。』
『未優!父さんだ!ごめんな。最後まで見守ることが出来なくて……。未優はな、思い出すが嫌だと思うから思い出せないんだ。思い出そうとすれば、必ず思い出せる。思い出して事件を解決してくれ……』
そして、私は目を覚ました。
私は保健室のベットで横になっていた。
今のは夢じゃない。
全て思い出した……!
その時だ!
奏が私の様子を見に来た。
いや、違うか……。
響が来た!
『大丈夫か?』
響が聞いてきた。
私は深呼吸を一度し、言った。
『どうだろう。でもね、思い出したんだ、響。もう演技しないで!私に関わらないで!』
私は保健室を飛び出して行った。
つい、大きな声で言ってしまった。
でも、しょうがないじゃん。
私の家族と奏を殺したのは響なんだから…。
信じられないけど、真実だ。
何でこんなことをしたのか分からない…。
優しかったのに……。
『ねぇ、お兄ちゃん、お母さん、お父さん、奏、私はこれからどうしたらいいの?』
私はそう呟いた。
その時、私の頬には透明なものが伝っていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。