私は、その後は、奏と会ってない。
奏は、一週間程して、学校に来た。
〜学校〜
私は、試しに、奏を呼んでみた。
『奏!』
『誰?』
その時、男子が言った。
『お前、覚えてねーの?俺らの事覚えてんのに?』
『そうだっけ?話したことない気がするけど。』
そう言った。
『奏やばいって。本人のいる前で。それに毎日話してたよ。』
女子が言った。
『えっ。マジで?』
『そうだよ』
私は、私だけ覚えてない事が分かると、悲しくなった。
だから、教室を飛び出してしまった。
チャイムが鳴った。
でも、私は、授業に出なかった。
屋上にいた。
〜教室〜
『あれ?乙坂さんいないね。知ってる人いる?』
先生が言った。
その時、女子が言った。
『未優ちゃんなら、授業始まる前に、泣いて、教室から出ていってました。』
その時、奏が立ち上がった。
『先生、俺、探してきます。』
そう言って外に出た。
〜屋上〜
『あっ、いたいた。さっきはごめん。本当に覚えてなくて。』
そう言いながら、近づいてきた。
私は、驚きすぎて、声が出なかった。
『ううん。大丈夫。』
その後、少し沈黙した。
でも、探しに来てくれただけでも、嬉しかった。
『戻らないの?私は置いてっていいよ。』
『なんで?一緒に戻ろうよ。』
『サボりたい気分だから。』
『だめー!ほら行くよ!』
無理やり引っ張られた。
私は、無理やりだけど、一緒に歩けてるから嬉しかった。
そして、私は言った。
『何で探しに来たの?』
『何か身体が自然と動いたから。』
奏は、そう言った。
私は、感覚は残ってるんだと思うと嬉しかった。
少しづつでも、思い出してくれてかなと期待してみることした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。