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いつだって君の目線はアイツに一直線だった____ 。
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うんざりするほど昔から変わらない。
好きな人なんて
コロコロ変わるもんだと思ってたのに。
あいつの目の先にはいつも同じ人。
そういう俺の目の先にも同じ人。
人の事なんて、昔から言えやしなかった。
____ 6月6日。
俺は初めてそいつに出会った。
それは小学生のときだった。
衝撃的だった。
目が合って、不意に微笑まれた。
恋なんてくだらねー、って思ってた
俺がまだガキの 小5 だったその日。
心変わりなんて一瞬で、
恋に落ちんのも一瞬だった。
目が合って微笑まれたのが
恋に落ちたきっかけだなんて、
どこぞの少女漫画だって思うけど
残念ながら落ちた理由、それだけじゃないんだわ。
「 ヘチャンくん、
今日お誕生日だったよね?おめでとう! 」
クラス替えした初日。
その日にチョロっと言っただけの誕生日。
だーれも覚えてくれやしなかったのに、
お前だけが、ハッキリ、鮮明に
俺の誕生日を記憶して、今目の前で祝ったんだ。
このせいでも、ある。
俺の誕生日祝ってくれるやつなんて
残念なことに片手で数えられる程度だったから、
嬉しくて仕方がなかった。
『 覚えてて、くれたんだ…。
うん、ありがとう 』
俺はその日、
柄にもなく繕ったと思う。
割と
かっこよくて、
いい姿の自分を、
君の瞳に写すために。
____ 6月6日。
期待で溢れた 小6 のあの日と同じ日。
君はまた、俺と目を合わせて、
「 ヘチャン、お誕生日おめでと! 」
去年よりも砕けた口調でそういった。
胸の高鳴りなんて、
あの日よりも遥かにデカい。
俺はこの幸せが限りなく続くと思ってた。
バカだったみたい。
そんなことあるわけなんてないのにな。
____ 7月1日。
面白くないことが起きた。
転校生だとよ。
同じく 小6 の夏休み前、
ビビるほどに顔面が整ったやつが
転校してきて、君の隣に座ったんだ。
それは仕方ないよ。
君の隣の席しか空いていなかったのだから。
それでもまぁ憎かった。
せっかく、色んな人にお願いして
君のとなりに俺が座ったっていうのに。
お前は俺より簡単に座りやがった。
そいつと君は
なぜだか瞬く間に仲良くなっていった。
それが憎くてしょーがなかった。
2人が仲良くなって、
今の君と俺の距離よりも
そいつと君の距離が近くなるのが心底嫌だった。
だから俺はそれを阻止するように
そいつと仲良くなった。
それが原因だったんだ。
____ 8月13日。
3人でよく集まるようになって、
当たり前かのように
夏休みも3人で遊ぶことになった。
こんなに集まる回数増えんなら、
沢山君と、うんざりするほどに話せばよかったって
後悔してる。
まぁ今更だけど。
俺と君の家が近いから、
俺はそいつの元へと君と向かった。
幸せだった。
その時間だけは少なくとも
君の頭ん中、目ん中、俺しかいないから。
でも目的地に着いちゃえば
俺だけじゃなくなる。
すっげー嫌だったけど、
俺は別にそいつのことが
めっっっっっっっちゃ嫌い!!!
って、ワケじゃなかったから
どうしても表に出したりとか
言ったりだなんてことは出来なかった。
「 ジェミンくん、おめでと! 」
今日は俺が嫌いなそいつの誕生日。
『 ん、おめでと 』
俺も、成り行きで祝うしか無かった。
今日約束したのは偶然なんかじゃない。
君が用意した必然だ。
俺はそんなこと知らなかった。
約束をしたあと、君に呼び出されて
少しの期待を胸におバカな俺は君んとこへ行った。
そしたらまーまー、悲惨なことでさ。
ジェミンくんのために力を貸して、だの
聞きたくもねー言葉聞かされて、
でも俺はまだ可愛かったから、
好きな人の頼みなんて断れなかった。
快く引き受けた俺は、
今仕方がなくそいつの前にいる。
仕方がなく、ね。
____ 3月23日。
時が過ぎてくのって
馬鹿みたいに早くて、
俺も、君もそいつも、
みんな、卒業する、っていう時期がやってきた。
意外と根性無しで臆病者だったらしい俺は
君に告白することなく時間が過ぎってった。
言ってやりたい。
その頃の俺に
バカヤロー!!ってな。
____ 4月23日。
そして俺らが卒業して、
また1年を経験する季節がやってきた。
入学の時期だ。
義務教育ってやつは
長ったらしくて、うんざりする。
そいつと笑ってる君をもう見たくない
なんて願いすら叶わないんだから。
クラスが増えた。
小学生の頃よりも大幅に。
こりゃチャンスだ、って思った。
結果は俺と君が一緒。
そいつだけが別だった。
最初は喜んだよ。
でもこれがあとで嫌になるんだ。
だって考えてよ。
邪魔者なしに俺と君2人だけ。
俺がどんどん君に大ハマりしてくだけじゃん?
それはそれは手に負えなくなるくらいにね。
結論からいえば、もっともっと、
好きになってったってこと。
こりゃ大変だ。
____ 6月6日。
「 ヘチャン、おめでとっ 」
君は何を考えたのか、
帰り道
俺に思いっきり抱きついてきた。
そいつも何考えたのか、
君と一緒に抱きついてきた。
🐨「 ヘチャナ~♡ ん〜、ん~♡ 」
そいつは思ってたより変人で
とんでもないくらい気色悪かった。
ポッポせがんでくるし…
「 ふふっ、今年もヘチャンの誕生日祝えてよかったな~! 」
🐨「 えー、あなたずるい…俺初めてなんだけど?? 」
何がずりぃだよ。
俺はおめーの手がさり気なぁく
あなたに触れてる方がずりぃわ。
俺は正直者だったっぽくて、
表情筋ゆるゆるにしながら
君とそいつを思い切り抱きしめ返した。
『 ばか 』
____ 8月13日。
もうそれはきっと恒例になりつつある。
時が過ぎて 中3 になった俺らは
またそいつの誕生日を祝ってた。
結果うじうじして、
俺がなんにも言わない状態だったから
俺が君に「すき」っていう前に
気づいちゃったんだ。
そいつに話しかけられる度に
声色変えちゃって。
バレバレなんだってば。
俺と話してる時より顔は赤くて明るいし、
俺と話してる時より楽しそーだし、
俺と話してる時より嬉しそーなんだもん。
全部俺と比較すれば分かっちゃうくらい
目に見えてた。
君、好きなんでしょ、そいつのこと。
『 あーあー!なんでかなー!! 』
家に帰って鬱憤を壁に叫んでも
聞こえるのは妹の怒鳴り声だけ。
寂しくって、悲しくって、
俺は泣いた。
____ 1月25日。
高校だってお前らが追いつけないほど
いいとこ行ってやろ、って
本気出して頑張ったのに。
なんでお前らはそんなにいい頭持って
俺について歩くんだよ。
なんにも酷いことしてないのに
なんだか悪いことが俺にだけ回ってきてる気がした。
はー、最悪。
もっと最悪な事態がこの後起こるなんて
この時の俺は知りもせず
呑気にイヤイヤ、って言ってた。
____ 6月6日。
今年もこの季節が来た。
高校に上がっても
まだ祝ってくれんのかな、なんて
俺は考えてた。
でもそんなんもうなかった。
「 あ、あのね、ヘチャン 」
この言い出しから
俺は最高に嫌な予感がしてたんだ。
だから本当は
「あー、ごめん用事思い出した」
なんて言って逃げたかった。
でもやっぱ好きな人に声かけられたわけだし、
って本能が勝手に足止めしたんだよ。
そんな意地悪い本能に
俺は少し唇をかみ締めた。
いなくなっちゃえ、
君のこと好きなんか俺なんて。
「 私、ジェミンくんに告白しようと思うの。」
『 そっか、頑張れよ! 』
笑うしかねぇだろ、こんなん。
君のためにも、
情けない俺にも。
最っ高の誕生日プレゼントだよな、
ほんと、よくやってくれるわ。
____ 6月14日。
君の行動力って
ほんと尊敬するくらい凄くてさ。
「 ヘチャン、あのね! 」
とびきり可愛い笑顔で君は俺にこう告げた。
「 ジェミンくん、告白OKしてくれたの! 」
そっかそっか。
『 やったじゃんか! 』
信じられないほど俺は普通だった。
心のどこかでは
こうなることわかってたんだと思う。
『 幸せにな! 』
こんなことよくつらつらと言えるよ。
絶対俺はジェミンより君のこと好きなのに。
次の日からは憂鬱で仕方なくて
俺は母さんに土下座して1週間休み貰った。
学校から帰ってきた妹にも頭下げて
習ったとこ全部教えてもらった。
どんだけ俺が無茶言っても
母さんも妹も笑って許してくれんだよ。
いつもならそんなことしてくれないのに
馬鹿みたいに優しい家族に
俺は変に温かさ感じて
泣きそうになった。
1週間が終わって
朝、登校準備してる時にふと思った。
失恋して1週間休むなんてだっっっっっさ。
って。
それにそれくらいで休むなんて
まじ俺有り得ねーって思ったよな。
反省しながら俺は学校に向かった。
🐨「 ヘチャン!大丈夫?! 」
なんで朝1番目に会うのがコイツなの。
『 んー?別に大丈夫だけど?』
🐨「 へ?だって高熱出したってあなたが、」
『 何言ってんだよお前、こんなんずる休みだわ笑 』
馬鹿なこといって俺はその場を去った。
____ 8月13日。
いつもなら行くそいつの誕生日の遊び。
今年はお休みした。
ふざけながら2人から連絡来たけど、
お生憎様俺には
カップルの間に入る勇気なんざないんだわ。
残念でした。
その日の夜そいつから電話がかかってきて
近くで会えないかなんて無茶振りまでしてきた。
仕方がないから優しい俺はOKしてやったよ。
『 なーに。』
🐨「 ごめん 」
『 なにがだよ 』
🐨「 あなたの、こと… 」
『 は?何を思って謝ってんの? 』
🐨「 … 」
『 別にいーから笑
なんともないし、休んだり
お前の誕生日行かなかったのとか
それと全く関係ないから笑』
🐨「 そう、なの…? 」
『 まー、確かに好きだったけど、
お前から横取りするほどの根性なんて
俺にはないんだよ。
好きに笑ってやってくれ。』
🐨「 ヘチャナ、」
『 まぁ傷つけたら許さねーけどな。』
早く去りたかった。
そいつの口から君の名前聞くのが嫌だった。
今そいつの姿見るのも嫌だった。
そいつが俺に君の彼氏面見せに来てるとか
君の彼氏アピールしてるとか、
よくわかんないほど悪いこと考えちゃうから。
だから俺はぱっぱと言いたいこといって
その場を去った。
まぁ正確に言えば、逃げた。
情けないね。
でも仕方ないや。
____ 8月2日。
🍉「 あともう少しで夏祭りだな。」
『 ん、そーですね。』
🍉「 いいのかよ。1回もなんもしなくて。」
『 マクヒョンのお人好し。
別にそんなことしなくなっていーし。』
だってそんな悪あがきしたってもう無駄だもん。
『 あ、言ってなかったか。そーいえば 』
🍉「 何を? 」
『 あそこ、くっついたんですよ。あなたとジェミン。』
🍉「 …は? 」
触っていたノートパソコンを机に置いて
床に仰向けに寝っ転がる俺の顔の
目の前に来たマクヒョン。
🍉「 それでほんとにお前は良かったのかよ。」
『 それで良かったもどーも、気づいたら出来てたんですもん。』
🍉「 はぁ、…嘘だ。」
『 ……なんですか、なんか文句でも…? 』
🍉「 …泣くなよ、俺まで辛くなって来ただろ、…っ 」
『 もう、まじでお人好し…っ、』
ヴーヴー…
🍉「 けいたい…、なってる…っ 」
『 わかってます、… 』
少し震える手で携帯をとる。
『 はい… 』
🦊「 おい!今ジェノたちと祭り来てんだけどさ、あなたいたぞ! 」
『 んだよ、…それだけか…っ 』
🦊「 …はぁ?泣いてんのかよ、お前 」
『 俺は行かないからな… 』
🦊「 なんでだよ 」
『 だってあなたはジェミンと、』
🦊「 は?ジェミン?…ジェミンなんか隣にいなかったけど 」
『 …は、』
俺は携帯を置いて上着も着ないで外に走り出た。
🍉「 おい、ヘチャンっ!! 」
『 ごめん、なさい…! 』
無我夢中だった。
訳わかんない。
叶わないってわかってるのに。
『 あなた…!! 』
手を掴んで気づく。
「 !…ヘチャン?? 」
あなたの変わってない可愛さに。
『 アイツはどうした、!…ジェミン! 』
「 ジェミンくん、…もう別れちゃったよ…笑 」
『 …は? 』
「 えへへ、」
あなたは情けない顔で悲しそうに笑った。
アイツ、
俺、お前に傷つけんなって言ったよな…?!
『 ばか、っ 』
【 おーい、あなたいくよー?? 】
向こうの方で女子が
あなたの名前を呼ぶのが聞こえた。
「 ごめん、ね…言ってなくて。
また集まろ!じゃあね! 」
んだよ、アイツ。
俺は今でも好きだな、って思うのに。
アイツ贅沢すぎんだろ…
🐨「 …ヘチャン? 」
『 !…ジェミン、』
🐨「 …遅かったか、笑 」
『 は…? 』
🐨「 んー、なんでもない。また、ね 」
嵐のように去ったジェミンの目元はすこし潤んでて、
俺は悟る。
あぁ、自分らの合意の意思の元、
別れたんじゃねーんだな、って。
またダメだったじゃんか…笑
結局俺はダメダメなままか。
🍉「 ヘチャン! 」
🍉「 やっと見つけた… 」
🍉「 一緒に泣こう。お前には俺がついてるから。」
『 ね、マクヒョン…、』
🍉「 ん? 」
『 俺、なんも変わってなかったよ、
まだガキのまんまだった。
傷ついたことなんて沢山あったけど、
何かを変えようだなんて思ったりしなかった。
…だから、まだ俺小学生だわ、笑 』
🍉「 しっかりしろよ、高校生 …笑 」
『 あー、やば、』
まだまだ子供なんだ
それにいつだって味方がいないとダメみたい。
『 マクヒョン、すき 』
🍉「 !? …無理だからな、却下だぞ?! 」
『 ふふ、分かってるよ。 』
だって俺はまだあなたがすきだもん。
もう事実上終わった恋だけど
俺からしたらまだバリバリ続いてる。
あなた、お前幸せものだわ~、
このヘチャン様に長らく好かれといて
振り向きもしないだなんて。
____ 6月6日。
🦊「 おい主役遅いぞ~ 」
『 なんでこんなの着なきゃなんないんだよ… 』
🍉「 だって20歳の誕生日だからさ。
これくらい我慢しろ笑 」
俺の人脈ほぼ全員に声掛けてできた
俺の20歳の誕生日パーティ。
俺と深く関わってくれた19人の人達
プラス
昔からの人達。
と、
🐨「 おめでと~!! 」
『 ぐえっ、…お前墓場まで呪うから 』
🐨「 えぇ、怖 」
永遠のライバル、ジェミン。
この誕生日パーティは死ぬほど楽しかった。
けどやっぱ足りねーよな。
最後の最後まであなたは
俺になびかなかった。
あー、辛…笑
『 みんな好きだ~!!! 』
ま、俺の中では永遠にあなたが1番だけどね。
相手いなくなったら来いよな。
俺、優良物件だぞ?笑
ま、結果あなたは
いい男と結婚したんだけどね。
↺ Haechan × Jaemin : いつだって ー 14:19
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。