―小春side―
もうすぐ6月。桜木高校では文化祭がおこなわれる月だ。
先生のその言葉を待ってました!とばかりに、騒ぎ始めるクラスメイト
かくいう私も浮かれている内のひとりだ。
なんせ今年の文化祭はタクと付き合って初めての行事だからだ。
4月の終わりにタクに告白しようとした私だが、逆にタクに告白された。
あの時のタクの台詞と、嬉しかった気持ちは今でも鮮明に覚えている。
そんなこんなで付き合った私達。
自分でいうのもなんだが、それなりにうまくいっていると思う。
文化祭実行委員と聞いて、騒がしかった教室は一気に静まりかえった。
みんな面倒なことはやりたくないのだ。
そんな中、1人だけ手を挙げた人がいた。
アンナだ。
面倒なことはさっさと終わらせようとばかりに、みんなが賛同した。
もう1人、と聞いて私はとっさに手を挙げた。
話し合いの結果、私達のクラスは
男子が焼きそばの屋台、女子はイチゴ飴の屋台を出す事になった。
衣装は売り子、呼び子はチャイナ服を着ることになった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。