―小春side―
アンナと別れ家に帰った私は、小雪の靴が置いてあるのを見て、帰ってきていることに気づいた。
カフェに居た時慌てて出て行ったから心配していたが、ちゃんと帰って来ていたようで安心した。
リビングにいる様子はないので、多分部屋で勉強をしているのだろう。
そう思った私は1人で夕飯を作ることにした。
私達の両親は共働きで帰りが遅い。
なので夕飯はいつも2人で作り、食べている。
―10分後―
今日の夕飯は小雪の好きな麻婆豆腐だ。
うまく出来たので小雪を呼びに行く
返ってきた小雪の声は、驚くほど元気がなかった。
2人で黙々と食事を始めた。
小雪はなにも話さない。
私も元気がないのは気になったが、どう切り出していいのか分からず黙ったままだ。
どれほどそうしていただろう。
食事を終えた小雪が、唐突に口を開いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。