赤茶髪で緑色のパーカーを着てるオーナーさん__もとい、じゃぱぱさんは私にニコリと笑いかけて、久しぶりだね、と言った。
不動産屋で会ったときとはだいぶ印象が違うように見える。
カン…カン…カン…と音を鳴らしながら階段を昇る。
ほうほう、えとさんは分かるよ?
だってあの日に会ったもん。
ワイにとっては因縁の日だからね。
警察に勘違いされて?
私の身体能力を初めて全力で酷使し?
おまけになお兄と再開!
草生えたよね()
でもう一人のたっつん…さん?
誰?
私まだ全員とあったわけじゃないからなぁ…
わっかんね()
ガチャ
その部屋はすっごい広くて……
もうなんか私なんかがこの部屋使っていいのか?
良いなら遠慮なく()
……がしかし……
スペース広くなりそうやなぁ
物ほとんど置かんし。
何か気づいたようなじゃぱぱさんに引っ張られて、私は共用スペースへと赴くこととなった。
……絶対なお兄おるよなぁ……
なお兄多分私の事思い出したし、あーーーどうしよ。
ガチャ
……楽しそう……
いいな、こういうの。
私が混ざっちゃうと、楽しくなくなるよね。
……ごめん、ごめん。
私が怪我したとき、自分が転んだだけでも近くにいた子のせいにされて。
私が勝負に負けたとき、友達の親が友達に何か耳打ちしてた。
友達は「え~何で?」って聞いてたから、どうせ親が「わざと負けるのよ」とか何とか言ったんだろうな。
……いつしか私は、心を閉ざした。
私が関わるから皆嫌な思いをする。
私は織田家の長女だから。
織田家に嫌われればあの街では暮らしていけないから。
…私なんて…私なんて…っ
……ギックー……
バレた?バレたよね…?!
…いや、ボロを出さなければいける…っ
今の私は髪も染めたし、見た目も結構変わってるし、いける…っ
すまねぇ、なお兄…っ
ごめん、なお兄
めちゃくちゃ会ったことあるけど!
今は知らないという事で…
いつか分かるから…それまで我慢して遅れやす()
分かってるよ〜
だってそれ私だもん()
知ってる、それも知ってるんだよ…
だってそのあだ名つけたん私だもん()
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。