目を覚ますと隣には大好きな亜嵐くん。
眠そうな顔で笑う。
まだ、しっかり起きていない顔で笑うけどかっこいい
ってどういう事…
私はやっと恋人らしいことをしたんだ。
そう思うと昨日のことが蘇って顔が火照る。
私を筋肉でムキムキになった腕で寄せる。
ぎゅっとされて…暖かい。
私だけを見てくれてるのかな。
ファンの子もだけど…私を1番に…?
けど、甘えた亜嵐くんは久しぶりに聞いた。
昨日の亜嵐くんはもう…亜嵐くんじゃなかった。
Sで…
かっこよくて…
色気だだ漏れで…
死んでしまう。
亜嵐くんの背中に手を回して抱き着く。
肌と肌が密着する。
" 亜嵐くん "
というのが伝わって嬉しい。
私は察して亜嵐くんから離れようとした。
時刻は10時。
亜嵐くんも仕事の準備しないといけないし
私は起きてちょっとしたご飯の準備。
亜嵐くんに教えて貰ったスクランブルエッグ。
今までずっと料理をしてこなかった私には
とても難しかったが優しく教えてくれて覚えた。
ササッと作ってテーブルに
2つのスクランブルエッグを置く。
美味しそうに食べてくれるから嬉しいんだよなぁ。
作ってる人から見て居心地がいい。
亜嵐くんは靴を履いて私の部屋から出ていく。
嫌だ。
なんて言えない。
けど…
仕方ない。
笑顔で送らなきゃ…
手を振って亜嵐くんを送り出す。
亜嵐くんに気使わせたくなかったのに。
も ~ 、彼女失格だ。
と言って私を優しく…強く…抱き締めた。
私も亜嵐くんの背中に腕を回して抱き締める。
ずっとこうしていたいのに…
時間はそうはさせない。
ニコッと笑って出ていく。
うぅ…辛い。
行かないで ~ 。
___ガチャ
ドアの閉まる音。
シーンとなる私の部屋。
さっきまでいた亜嵐くんの面影を残したままな私の部屋。
綺麗に食べてくれたスクランブルエッグのお皿を
しっかり洗って乾燥機に入れる。
いつもと同じ光景なのに…会いたい。
って、すぐ思う。
亜嵐くんがいないと駄目だなって…
____prrrrrrr
私の携帯が机の上で回る。
見ると
" 佐野玲於 "
玲於から電話かかってくるなんて珍しい。
着信
を押して出た。
と数秒後に切り替わる画面。
そこにはちょっとだけ画質の悪い亜嵐くん。
アシスタントの人に髪の毛をセットされてる。
しかも…女性…
が!後ろ姿からでもわかるかっこよさ。
さすが…
プチッと、変わった画面。
黒くなって亜嵐くんは見えない。
亜嵐くんの顔が凄いことになるって相当なことが
あったんだと思う。
何か行くまでに何かがあったのかな…
心臓がどくどくと言う。
異常な速さ。
亜嵐くんが…?
私に会いたいと…?
私だけじゃなかったんだ。
亜嵐くんも…私と同じ気持ちだったなんて…
と、玲於の声は聞こえなくなった。
「 亜嵐くんが寂しがってたよって伝えた 」
と、向こうの方から玲於の声。
「 そうだけど 」
「 だってうるさいだもん。 」
聞いてるこっちも笑顔になれる。
面白いなぁ。
これだけ仲がいいんだなって思った。
それから亜嵐くんとの会話は続きいつの間にか
20分が経とうとしている。
その時、電話の向こうからマネージャーさんらしき
声が聞こえた。
玲於「 いつまで話してんだよ。 」
亜嵐「 20分じゃ足りねぇわ 」
切る寸前に聞こえた二人の会話は私の体を熱くさせた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!