仕事中も片寄王子の顔が頭から離れない。
けど、そのイケメンパワーのおかげで
順調に進んでいる。
明美さんの仮アシスタントとして勉強中な今。
きっちりとアシストしている。
明美さんが欲しいものを素早く渡したり
お客様とのコミュニケーションをとったりなど
今までに見られなかった私が開花していくのだから。
頭を下げて顔を上げると
明美さんが私の全身を下から見上げるように見る。
はははって笑う。
自分自身、調子がいいと感じる。
明美さんに見せびらかす。
明美さんに貰った写真。
無理やり手を握って上下に降る。
嬉しすぎて頬がゆるゆる。
もう、戻らないぐらい。
幸せだぁ。
そんなことならずっと元気無くしていようかな。
すると
白濱さん「 既読無視ツラタン。」
既読無視…
既読無視!?
私、そんなことしてた!?
「ごめんなさい!返信忘れてました!」
明美さんがあんな危ないもの見せるから
返信忘れちゃってたよ!
白濱さん「 今ね、休憩なの。」
「 私もなんです。」
白濱さん「 あ、マジ! 」
「 あのですね… 」
片寄王子のことを聞きたい。
ファンの方には本気で申し訳ないと思っているが…
「 片寄さんって…彼女とかいますか? 」
私に無理なことなんて重々承知。
不可能。
だけど…ファン代表として!((殴
白濱さん「 なんで涼太? 」
「 あ、いや…なんとなく。」
白濱さん「 いるよ 」
白濱さんの言葉にズドーンと重い重りを付けられ
背中に乗せられた気分。
白濱さん「 って言うのは嘘でいません。」
え、ほんと!?
よかった…
なんて思いがゆらゆらと揺らめく
「 なるほど… 」
白濱さん「 そろそろ終わるから行くね。」
「 はい!ありがとうございます!」
白濱さん 「またね。」
「 また。」
会話は終了。
無事、片寄王子の情報ゲット。
彼女なし。
確定。
幸せな気持ちに浸ってるから
今は元彼のことなんて頭になく、
もう、変わってるのかもしれない。
すきなひと。
なんか幸せすぎて怖い。
次、不幸なことが起こりそうで怖い。
.
明美さんと並んで歩く。
ここはいつも通い慣れている道の路地裏。
こっち、
って連れられたのは雰囲気の良さげな居酒屋。
すき。
空気がすき。
一般のお客さんでも一緒に話したり
他人とは思えないのほどの会話。
店の外からもたくさんの笑い声が漏れている。
今日は多いのかな…
なんで…
後ろ姿で分かってしまったあのシルエット。
それはそれで、嬉しいんだけど…
私はそれ以上に嬉しいことがある。
玲於くんの隣にさ…
あの、片寄王子が座ってるの!!!
横顔も綺麗でほんとカッコイイ。
いつの間にか凄い虜になっていた。
そんななか、明美さんはずかずかと
7人の中に入って行く。
さすが、お姉さんってだけあってみんな慣れてる。
私…取り残されてます。
一人ポツンと佇んでます。
それ以上言わないで欲しかった。
明美さんの指とともに視線が私に集まる。
白濱さんと玲於くんはいいの。
見慣れてるって言っちゃダメだけど。
王子が微笑んだ!!!
私に向かって
" こんばんは "
って!
あ、録音機買っておけばよかった。
片寄王子の言葉を止めるかのように私に聞く。
今の凄い悔しい思いもあるけど
有難い気もする。
玲於くんは私から目を逸らして前を向いた。
神様がくれたチャンスだ!
無意識に王子に言われた言葉を否定したくなくて
と、答えた。
微笑んでくれるだけでも嬉しいのに…
目と目を合わせて話してくれるとか…神。
片寄王子?
今、遠回しに私の事取ろうとしてた!?
ばか。落ち着け。
んなわけない。
脳が幼稚すぎてダメだ。
私の頭は真っ白。
今、人生で初めてこの名前でよかったって
思えてるんだけど。
え、なに、今日私の命日?
行くよ。と言われて座らされたのはカウンターの席。
話し流されてるけどそんなの関係ない。
もう一度、騒いでいるメンバーの中から
片寄王子を探し見つめる。
はぁ、いつ見てもカッコイイ。
そんな中、2つの視線が感じたのは気のせいか…?
分からず明美さんを見た。
1日目で本物に会えるなんて思ってもいなかった。
若いっていいねぇ。
そう呟く明美さん。
私、頑張れそうな気がしてきた!
もう一度…
王子を見て明美さんと真剣に話そう。
区切りをつけた時。
丁度、王子と目線がぶつかった。
私は慌てておよおよしていたら
ニコッとスマイル。
発狂。
区切りつけるところか歯止めきかなくなった。
よく考えたら、なんで私の名前知ってるんだろう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。