第13話

イケメンパワー
1,852
2018/12/30 15:37
仕事中も片寄王子の顔が頭から離れない。


けど、そのイケメンパワーのおかげで


順調に進んでいる。


明美さんの仮アシスタントとして勉強中な今。


きっちりとアシストしている。


明美さんが欲しいものを素早く渡したり


お客様とのコミュニケーションをとったりなど


今までに見られなかった私が開花していくのだから。
あなた

ありがとうございました!

吉口 明美
ありがとうございました!
頭を下げて顔を上げると


明美さんが私の全身を下から見上げるように見る。
あなた

な、なんですか?

吉口 明美
なんかあなた今日いい調子だから
何かあったのかなって…
あなた

だからって全身見なくて良くないですか

吉口 明美
いや、ちょっとどっか怪我してないかなって…
あなた

明美さ ~ ん!

はははって笑う。


自分自身、調子がいいと感じる。
あなた

調子がいいのはこの方のおかげです。

明美さんに見せびらかす。


明美さんに貰った写真。
吉口 明美
あ ~ 、涼太ね。
あなた

ほんとにかっこよくないですか?

吉口 明美
まぁ、そりゃね。
あなた

明美さんのおかげです!
ありがとうございます!

無理やり手を握って上下に降る。
吉口 明美
はいはい、ならこれから元気ない時に
涼太の写真送ってあげるから頑張って。
あなた

は、はい!!

嬉しすぎて頬がゆるゆる。


もう、戻らないぐらい。
幸せだぁ。


そんなことならずっと元気無くしていようかな。
すると


白濱さん「 既読無視ツラタン。」


既読無視…


既読無視!?


私、そんなことしてた!?


「ごめんなさい!返信忘れてました!」


明美さんがあんな危ないもの見せるから


返信忘れちゃってたよ!


白濱さん「 今ね、休憩なの。」


「 私もなんです。」


白濱さん「 あ、マジ! 」


「 あのですね… 」


片寄王子のことを聞きたい。


ファンの方には本気で申し訳ないと思っているが…


「 片寄さんって…彼女とかいますか? 」


私に無理なことなんて重々承知。


不可能。


だけど…ファン代表として!((殴


白濱さん「 なんで涼太? 」


「 あ、いや…なんとなく。」


白濱さん「 いるよ 」


白濱さんの言葉にズドーンと重い重りを付けられ


背中に乗せられた気分。


白濱さん「 って言うのは嘘でいません。」


え、ほんと!?


よかった…


なんて思いがゆらゆらと揺らめく


「 なるほど… 」


白濱さん「 そろそろ終わるから行くね。」


「 はい!ありがとうございます!」


白濱さん 「またね。」


「 また。」


会話は終了。


無事、片寄王子の情報ゲット。


彼女なし。


確定。
幸せな気持ちに浸ってるから


今は元彼のことなんて頭になく、


もう、変わってるのかもしれない。


すきなひと。
吉口 明美
あなた ~ 、今日飲みに行かない?
あなた

行きます!

吉口 明美
よし、先約ゲット!
あなた

どこ行きますか?

吉口 明美
私のオススメな場所でもいい?
あなた

ぜひぜひ!
明美さんのおすすめとか高そう…

吉口 明美
んな事ないよ。そこら辺にある店!
あなた

ほんとですか?

吉口 明美
ほんとほんと。笑
なんか幸せすぎて怖い。


次、不幸なことが起こりそうで怖い。
.
明美さんと並んで歩く。


ここはいつも通い慣れている道の路地裏。
あなた

え、ここいつも通ってます。

吉口 明美
まぁ、目立たないところだからね。
こっち、


って連れられたのは雰囲気の良さげな居酒屋。


すき。


空気がすき。


一般のお客さんでも一緒に話したり


他人とは思えないのほどの会話。


店の外からもたくさんの笑い声が漏れている。


今日は多いのかな…
吉口 明美
こんばんは ~!
あなた

こんばん…

店員さん
いらっしゃい!
今日は2名かね?
吉口 明美
はい!お願いします。
店員さん
はいよ!適当に座ってて!
なんで…
後ろ姿で分かってしまったあのシルエット。
吉口 明美
あれって亜嵐達だよね。
あなた

で、ですよね。

それはそれで、嬉しいんだけど…
私はそれ以上に嬉しいことがある。


玲於くんの隣にさ…
あなた

王子…

あの、片寄王子が座ってるの!!!


横顔も綺麗でほんとカッコイイ。


いつの間にか凄い虜になっていた。
そんななか、明美さんはずかずかと


7人の中に入って行く。


さすが、お姉さんってだけあってみんな慣れてる。


私…取り残されてます。


一人ポツンと佇んでます。
吉口 明美
みんなに会うの久しぶり!
中務裕太
明美さん!最近、髪行けてないんすよ。
吉口 明美
確かに、前来たのいつか忘れたもん。
中務裕太
あれ、今日1人っすか?
吉口 明美
ううん?あの子。
それ以上言わないで欲しかった。


明美さんの指とともに視線が私に集まる。
佐野玲於
え!あなたじゃん!
白濱亜嵐
あなたちゃん!
あなた

ど、どうも…こんばんは。

白濱さんと玲於くんはいいの。


見慣れてるって言っちゃダメだけど。
片寄涼太
こんばんは。
王子が微笑んだ!!!


私に向かって


" こんばんは "


って!


あ、録音機買っておけばよかった。
あなた

こ、こんばんは!

片寄涼太
君って亜嵐くんの…
佐野玲於
二人で来たの?
片寄王子の言葉を止めるかのように私に聞く。


今の凄い悔しい思いもあるけど


有難い気もする。
あなた

二人だよ。

佐野玲於
へぇ…
玲於くんは私から目を逸らして前を向いた。
片寄涼太
玲於と仲いいの?
神様がくれたチャンスだ!


無意識に王子に言われた言葉を否定したくなくて
あなた

はい!!

と、答えた。
片寄涼太
そうなんだ!
微笑んでくれるだけでも嬉しいのに…


目と目を合わせて話してくれるとか…神。
吉口 明美
こらこら、涼太!
うちの子取らないでよね!
片寄涼太
やっぱ明美さんには叶わないです!
あなた

へ…?

片寄王子?


今、遠回しに私の事取ろうとしてた!?


ばか。落ち着け。


んなわけない。


脳が幼稚すぎてダメだ。
片寄涼太
じゃ、楽しんでね。あなたちゃん。
あなた

あなた…ちゃん…

私の頭は真っ白。


今、人生で初めてこの名前でよかったって


思えてるんだけど。


え、なに、今日私の命日?
行くよ。と言われて座らされたのはカウンターの席。
あなた

あ、あ、あ、明美さん…

吉口 明美
なに!
あなた

私、死ぬかも…

吉口 明美
ばか。死ぬわけないでしょ。
あなた

けど、今王子に名前呼ばれた…

吉口 明美
はいはい。
話し流されてるけどそんなの関係ない。
もう一度、騒いでいるメンバーの中から


片寄王子を探し見つめる。


はぁ、いつ見てもカッコイイ。


そんな中、2つの視線が感じたのは気のせいか…?


分からず明美さんを見た。
吉口 明美
涼太愛増してる?
あなた

そんなこと!愛なんて私に勿体ない!
王子は私にとって大事な置物です。

吉口 明美
ん?なんか置物の方が勿体ない気がする…
あなた

んで、ファン歴まだ1日ですけど…

吉口 明美
こりゃ、ファンに叩かれるね。
1日目で本物に会えるなんて思ってもいなかった。
あなた

けど、目の保養です。
本気になっちゃったかもです。

吉口 明美
あなたの二度目の恋は芸能人ですかっ。
あなた

叶わぬ恋ですね。

吉口 明美
わかんないよ。
他のファンよりかは可能性がある
地点に立ってるんだからチャンスは無くない。
あなた

ほんとですか!

吉口 明美
えぇ。
あなた

私、頑張ります!

若いっていいねぇ。


そう呟く明美さん。


私、頑張れそうな気がしてきた!
もう一度…


王子を見て明美さんと真剣に話そう。


区切りをつけた時。
丁度、王子と目線がぶつかった。
私は慌てておよおよしていたら


ニコッとスマイル。


発狂。


区切りつけるところか歯止めきかなくなった。
よく考えたら、なんで私の名前知ってるんだろう。

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