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第33話

初喧嘩
2,028
2019/02/23 14:39
玲於に今日の夜誘われたけど亜嵐くんとの先約があるから


もちろん断った。


" 亜嵐と玲於どっちが好きなの? "


聞いてくるもんだからビックリした。


もちろん亜嵐だけど、なんで玲於?


ちょっとよく分からない。
白濱亜嵐
食べよ!
あなた

うん!

来たのは雰囲気のいい居酒屋。
私と亜嵐くんの行きつけ。
あなた

も ~ 、ここの焼き鳥最高!

お世話になっている店主にそう伝えた。


おっちゃん優しいんだよ!
もう1本焼いてくれるし、最高だよね。
あなた

ん?

亜嵐くんの視線が痛かった。
白濱亜嵐
ん ~?
なんでもない。
あなた

なになに?

白濱亜嵐
あなた可愛いなって。
今日の亜嵐くんは変だ。


いつも言わない " かわいい " とか " 好き? " とか。
普段言わないからこそドキドキしてしまう。
あなた

は、早く食べよ?

慌てて亜嵐くんに鳥焼きを渡した。
"  照れてんの? "


って。


意地悪だなぁ。


ほんとに。
あなた

照れてないよ

白濱亜嵐
照れてるよ。
あなた

っ…、だれのせいだかっ…

白濱亜嵐
俺?
あなた

そうだよ!

私はパクッと焼き鳥を食べた。
白濱亜嵐
ふ ~ ん、なら誰のせいであなたに意地悪してるか知ってる?
あなた

え?

白濱亜嵐
あなたのせい。
あなた

なんで!そんなわけないじゃ…

白濱亜嵐
俺にいっぱい嫉妬させた。
あなた

それならっ…私…

白濱亜嵐
悪い子だ。
あなた

私だっ…

白濱亜嵐
だから、あなたが悪いの。
異様に重くなった私と亜嵐くんの空気。


嫌だな…


けど、亜嵐くんだって私にいっぱい嫉妬させてる。


私、そんなことしてないし…


してるつもりない。


つもりがないだけで嫉妬させてるなら謝るのに


話させてくれないんだから。


私だけじゃない!


亜嵐くんに日々ずっと!


嫉妬三昧なのに…


私だけそんな悪者扱い酷いじゃん。
あなた

ごめん…亜嵐くん、ご馳走様。

白濱亜嵐
おい、あなた?
私の大好きな声で呼ばれる私の名前も今は聞きたくない。


5000円札だけ置いて外に出た。


真から凍りそうな寒さ。


冬は寒い…


息が白く空中に吐き出される。


その場から歩いてとりあえず家に向かう。


はぁ、初喧嘩?


追いかけてきてくれるのかな。


そんな妄想膨らんでたら



" 着信 : 佐野玲於 "



あなた

玲於…?

横にスライドした。


携帯を耳に当てると
佐野玲於
もしもし、俺だけど。
名前を名乗らない坊主。


そこは玲於らしい。
あなた

うん、知ってるよ?

佐野玲於
飲みに行かね?
今日で二回目の誘い。
あなた

ごめん、私今亜嵐くんとっ…

今…ちょうど喧嘩したばっかだった。


あ ~ 、どうしよ。


仲直りしなきゃだよなぁ。


このままわかれるなんて嫌!


けど、勇気が出ない。
モヤモヤとした心と戦う。


負けそうになってるのが今の現状。
冷たい空気の中一粒の涙が頬を伝う。
佐野玲於
なに、喧嘩?
あなた

…え?

この人はなんでそんなに見破ってしまうの?


人の心読みすぎだよ…
あなた

してない…

佐野玲於
なら、なんで鼻声でブッサイクなの?
あなた

え?

すると電話の向こうから聞こえる声が今では近くで聞こえる。
振り向くと、
佐野玲於
よっ。
あなた

玲於…なんで?

佐野玲於
ん ~ 、別に。
携帯を握りしめる私の側に歩いてくる。    


優しそうに笑う玲於。


なんでこんな時にそんな顔するの。
また、泣きそうになった。


そんな時、玲於の胸が私の顔にある。
暖かい温もり。
あなた

玲於…?

佐野玲於
ぶっさいく。
あなた

…なんで。

佐野玲於
黙れ、
そういうとぎゅっと強くなった力。
これが玲於なりの優しさなのかと思い知らされた。
そんな優しさに漬け込む私。


何度かあった。
涙が溢れて止まらない。


別れたくない…


亜嵐くんと一緒にいたいのに。
ぎゅっと玲於の裾を掴む。
佐野玲於
あ ~ 、早く動けよ。心。
あなた

何が?

佐野玲於
ん ~ 、なんでもねぇ。
とにかくその顔早く直せ。
あなた

う、うるさいなぁ。

佐野玲於
ぶちゃいくだよ♥
うざくて玲於から離れると子供のような笑顔で笑ってる。
も ~ 、やだ。


私までつられちゃう。
あなた

ふふっ

佐野玲於
…お前はそっちが似合ってる。
私の頭を掴んで髪をボサボサにした。


送る。


と一言残して歩く。
あなた

てか、私の家知ってんの ~ !?

ピタッと止まる玲於の足。


ゆっくり振り返って横に首をふる。


かわいい。
あなた

バカ!意地はんないで!

佐野玲於
うるせ!早く行くぞ。
照れた時の癖、後頭部の髪をかく。
あなた

あ、照れた。

佐野玲於
照れてねぇ。
あなた

恥ずかしかったね。

佐野玲於
うるさい、その口開けんな。
ドSだなぁ。ほんと。


彼女にもそんなことしてるのかな。
あなた

玲於、彼女いるの?

佐野玲於
は?
あなた

え?

驚いたように私を見る玲於。


え?


私、何か変な事言った?

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