第25話

愛情
1,647
2019/01/19 15:30
言われた場所に言われた時間に来た。
8時…35分…
8時半って言ったのに!


5分も遅刻してる。


亜嵐くんにしては珍しいな。


いつも5分前には来てるはずなのに…


「 亜嵐くん、仕事忙しい? 」


とりあえずLINEを、送った。


忙しいならわざわざ今日に飲まなくていいのに。


変な人…


「 ごめん!今日行けそうになくなった 」


思わぬ通知。


来れないの…


「 ならなんで誘ったの 」


ずっと亜嵐くんに会いたかった。


ずっとずっと亜嵐くんだけ考えて仕事終わらせたのに。


やだ…


会いたい。


「 ごめん! 」


「 会いたかったのに。 」


それだけ打って電源を落とした。


最近亜嵐くんと会えていなかった。


お互い仕事が重なって同じ時に休みは取れず


ずっと会えていなかった。


電話はしょっちゅうだけど私も気使って


夜遅くまでは出来なかった。


亜嵐くんだって仕事あるし…疲れてるだろうし。
いつの間にか溢れだしてくる涙。


こんな大人になって泣くなんて…


もう、あれから泣かないって決めたのに。


また亜嵐くんの事でなくなんて…
もう、行く場所なんてない。


速攻家に帰った。


靴もカバンもコートを全て投げ捨てベッドにダイブ。
あなた

はぁ…

今更、ちょっと後悔がでてきた。


なんであんなに強く言ったのか。


芸能人なんだもん。


仕方ないって思ってたのに。


それなりの覚悟は決めていたのに。


やっぱり欲には勝てなかった。
あなた

亜嵐…くん…

ベッドサイドに置かれた写真には私と亜嵐くんの写真。
それを手に取って見つめる。


こんなに二人とも笑顔だ。


別れたくなんかない。


ずっと一緒がいい…

























あなた

会いたいっ…






























今まで溜め込んでいた涙がドバっと溢れた。
あなた

ううっ…

枕は冷たい。


私の涙で濡れていく。

──ピーンポーン

私の涙は止まった。


え、こんな夜に…
あなた

誰…

涙を見せないためタオルを手に持ちゆっくり玄関に近寄る。
鍵を開けると
あなた

亜らっ…!!

亜嵐くん!と叫ぶつもりが


急に抱き締められた。


…唯一感じた亜嵐くんの匂い。
あなた

亜嵐くん…?

白濱亜嵐
ごめんな。寂しい思いさせて。
久しぶりに聞いた亜嵐くんの生声。


その途端、さっきまで出ていた涙がまた流れる。
あなた

…そんなのっ…気にしなくていいよっ…

白濱亜嵐
気になりすぎて仕事終わらせた。
あなた

大丈夫だった?

白濱亜嵐
俺を誰だと思ってんの。
あなた

ふふっ、だよね。

会いたい。


その願いが叶ったかのように会えた。


大好きな亜嵐くんに。
抱き締められる状況から亜嵐くんは私から離れた。


そして、目を合わせる。
白濱亜嵐
今日さ、泊まってく。
あなた

え!

白濱亜嵐
なに、いや?
あなた

嫌とかじゃなくて…その…

私達、付き合ってもうそろそろ一年が経つのに
( 記念日:12月20日、現在:12月17日 )


" ソウイウコト " はしたことが無い。


キスの2つや3つはあるがその先はいかない。


いや、いけない。
白濱亜嵐
変な妄想とかしちゃってんの?
ニヤニヤしだす亜嵐くん。
あなた

してないっ!

白濱亜嵐
なら、俺の思ってることわかる?
あなた

わ、分からないし…

白濱亜嵐
ふ ~ ん、ならお風呂借りるね。
え?


結局なんだったの…


てか、考えてることなんて大体想像つく。


けど口が裂けても言えない。
あなた

ど、どうぞ…

お風呂から漏れるシャワーの音。


それがどこかドキドキする。


テレビの音なんて入ってこない。


シャワーの音だけ。


敏感になっている。
ソファーに体操座り。


あ、止まった。


シャワーの音が止まった途端、ドアが開く音。
白濱亜嵐
あなた ~!俺のカバンの中から
着替えのポーチあるから取って!
あなた

は、はいっ!

急に呼ばれびっくりして机の角に足をぶつけた。
あなた

痛っ!

動揺しすぎだ、馬鹿!
亜嵐くんのカバンから取り出して脱衣場まで持っていく。
あなた

亜嵐くん ~?

白濱亜嵐
返事がない。


え!もしかして…


のぼせた!?
あなた

亜嵐くんっ!大丈…

咄嗟にドアを開けると
タオルを腰に巻いた亜嵐くんが洗面台の前で立っていた。


よかった…


倒れてない…
あなた

よかった。

一安心かと思いきやその格好で近づいてくる。
白濱亜嵐
何も良くないよ?
勝手に入ってくるってすごい度胸。
あなた

勝手にって…返事がなかったから…

どんどん迫ってきてついには壁に挟まれた。
濡れた髪の毛と濡れた肌


いつもの亜嵐くんでさえ色気だだ漏れなのに


この状況はすごくまずい。


心臓壊れそう。
Sな亜嵐くん。
白濱亜嵐
へぇ、
亜嵐くんから手が伸びてきて私の顎のラインを


サラッと触れてその手が後ろへ流され


もう片方の手も私の背中へ。


ぎゅっとされてる。


あかん…


この心臓の脈が伝わってしまいそう…
白濱亜嵐
あなた、好きだよ。
反則…


この状況でそんなこと囁かれてしまったら終わり。
あなた

亜嵐くんっ、どうした…?

白濱亜嵐
あなたは?
あなた

え?

白濱亜嵐
俺の事すき?
あなた

好きに決まってる…

白濱亜嵐
なら、良かった
と言って亜嵐くんは私から離れて






























顔が近まって私の唇に触れた。




























いつもとは違う深く甘い。


脱衣場に響き渡るリップ音。


何度も何度も角度を変えて絡む舌。


亜嵐くんの胸を押しても叶わず無駄な抵抗。


やっと離されたかと思いきや
あなた

亜嵐くんっ…

白濱亜嵐
寝かせねぇから覚悟しろよ。
こんなこと断言されて!


やばい、壊れそう。


こんな気持ちは初めてだ。


頭がぼーっとして動かない。
白濱亜嵐
楽しもうな。
俺がどれだけあなたの事愛してるか
わからせてやるから。
そのニヤニヤ顔。


ずっと私の頭に残ったまま夜の " 遊び " へと変わった。

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