第28話

一年記念
1,514
2019/01/31 15:04
12月20日の朝。
あなた

もしもしっ…!

白濱亜嵐
ん ~?どうした?
眠たそうな声。


起こしちゃったかな…
あなた

今日さっ、何の日?

白濱亜嵐
今日?
あなた

そう!今日!

あ、俺らの記念日だ って言ってくれるよね。


忘れてたなんて言わせない…なんては言えない。


だって、亜嵐くん忙しいし。


多少…覚えてなかったぐらいで私はなんとも思わない。



























白濱亜嵐
…なんだっけ。笑




























あっさり出した亜嵐くんの答え。


ちょっと…残念。


でも、何も思わないっと…
あなた

あ…、間違えた!間違えた!

白濱亜嵐
え?
あなた

勘違いしちゃってた!ごめんね。

白濱亜嵐
ははっ、馬鹿だなぁ。
えへへ


って笑うものの…声だけ。


顔は笑ってなんかないと思う。
なんか私だけ覚えてて亜嵐くんは忘れてるのに


お祝いなんかしたくないなって気がした。


だから、話を勘違いってことにしたの。


実はケーキ予約したんだよね。


今日で1年が経つもん。
あなた

はぁ…

朝から仕事らしくもう電話は切った。


私も、仕事だし…


もう行こうかな。
仕事の準備をして向かう。


さむいなぁ。
窓にたくさんの水滴が着いている。


朝日ももう上がり切った様子。
こんな寒そうな日にはマフラー。


クローゼットの中に閉まっておいた " あのマフラー "
あなた

懐かしいなぁ…

もう、既に1年が経った。


あの出会いがなかったら今頃私達は


こうして付き合うことも無く、芸能人と視聴者


というごく普通、当たり前の立場だったのかもしれない。
今日は一年記念日だもん。


これ巻いていく。
靴を履いて外に出ると予想以上の寒さ。


芯から冷えて凍え死にそう。


私、寒さに弱いんだよな。
コートを前でクロスするような形にする。
足早に向かった。
あなた

おはようございます…?

すごく深いことを考えていそうな顔で


腕を組んで机にもたれている明美さん。
吉口 明美
あ!きた!
私を見るなり顔はぱっと明るくなった。
あなた

おはようございますっ!

吉口 明美
おはよう!話があるの!
あなた

話…?

まさか…、クビ宣言?
別室に連れてこられ向かい合って話す。
吉口 明美
あなた、驚かずに聞いてね?
あなた

うん?

吉口 明美
今日の午後からLDHの体験よ。
あなた

え?

吉口 明美
GENERATIONSさんのヘアメイク担当ね?
明美さんはびっしりと詰まったスケジュール表を


ペラペラめくる。
あなた

GENERATIONS…さん…

吉口 明美
さあっ!喜べ!亜嵐いるぞ?
私も喜ぶと思った。


嬉しくて嬉しくて舞い上がるって…


なのに気持ちが全く乗らない。


朝のこと気にしてるんだ…
あなた

…良かったです!
ありがとうございます!

吉口 明美
あれ、もっと喜ばないの?
あなた

明美さ ~ ん、私何歳だと思ってるんですか?

吉口 明美
4歳
あなた

ちょっと…

吉口 明美
ま!とりあえず今日の14時からだから
早めに行って挨拶でもして来な?
あなた

分かりました。

今日も頑張ろっと私の肩をトンと叩くと出ていった。
ふうっ…



今日か…
なんでよりによって今日なの…
あなた

会いたくなかった…な…

今のが正直な答え。


分からずそのまま終えたかった。
LDHさんで働かさせてもらうのはほんとに有難いこと。


けど…
亜嵐くん、本当に覚えてないのかな。
わざとじゃない?
あなた

うぅっ。

仕方ない。


亜嵐くんの事は気にしないようにしよう。

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