第29話

サプライズ
1,540
2019/02/03 14:56
そして、約束の時間。


念の為、1時間前には仕事場を出るようにしていて


今は電車の中。
久しぶりに電車なんか乗った。


平日だから割と人は少ない。
それにしても、言うべき?


亜嵐くんに。
あなた

はぁ…

さっきから亜嵐くんのLINEを開いては


" 今日からLDHで働くよ "


と、打っては消し…打っては消し…の繰り返し。
うん…一応言おう。


そう覚悟してLINEじゃなくて


電話を後でかけることにした。
そして、電車は目的地に着いてドアが開く。
あなた

ふぅ…

亜嵐くんの電話番号をタップしコールが鳴る。


いつもとは違う。緊張する。
___prrrrrrr
ドクッ…ドクッ…


私の心臓の音が聞こえてくる。
白濱亜嵐
どした ~ ?
いつもと同じ亜嵐くんの声。


ちょっと安心…
あなた

亜嵐くん今大丈夫?

白濱亜嵐
まぁ、うん?
あなた

あのね、今日から私っ…!

白濱亜嵐
あ、ちょっと待って!
ちょっとっ…玲っ。
プーッ、プーッ、プーッ…
あなた

消された…?

携帯を耳から離すと最初に戻っている画面。


どういうこと…?


私のこと嫌いになったの…?


意味わかんない…


今日ずっとおかしいし。


記念日も忘れちゃうぐらいいい事でもあった?
泣きたい気持ちを堪えた。


泣くなら後で泣く。


その覚悟でLDHの事務所へ足を運んだ。
スタッフ
こんにちわ、どのようなご要件でしょうか。
カウンターで私に尋ねる女性。
あなた

えっと…今日から配属と言われた…

スタッフ
あ!原口さんですか?
あなた

そうですっ!

スタッフ
お待ちしてました。
でわ、ご案内しますね。
あなた

お願いします。

受付の人に着いていく。


GENERATIONS…さんだったな。


4階らしい。
スタッフ
はい、この階の突き当たりの部屋です。
あなた

ありがとうございます。

エレベーターを降りて突き当たりの部屋に向かう。


どうしよう。


めっちゃ緊張してきた。


みんなに変な反応されたらどうしよう。


メンタル崩壊する。
一歩一歩歩く度に心臓の音は速くなる。
そして、辿り着いた部屋。
あなた

ふう…

開けようとドアノブを握って回す。
目を開けると
やはり、みんな驚いた顔して私を見てる。
あなた

し、失礼しますっ!
今日から配属になった原口あなたです!
よろしくおねがいします!

必死になって声を出し頭を下げる。
あぁっ!


どうにでもなれっ…
片寄涼太
知ってる知ってる ~ !
マネから聞いてるよ。
と最初に声を出した涼太くん。
あなた

あ、そうなんですか…

なら亜嵐くんも…
中務裕太
そんな改めて言わんでもね?
数原龍友
緊張してんの?
にやにやし出す龍友くんと裕太くん。


わぁぁあ…


恥ずかしい…
やっと、視界が良くなって周りを見渡すと
涼太くん…


裕太くん…


龍友くん…


隼くん…


玲於…


メンさん…


あれ?
小森隼
今、例の人を探してますよね?
関口メンディー
亜嵐くん?
あなた

え!そんなことは…

佐野玲於
亜嵐くん今席外してる。
あなた

そうなんだ。

佐野玲於
ちなみに、あなたが配属に
なったことは知らないから。
あなた

えっ!ちょっとそれって…

すると私の後ろの扉が開いた。


向こうにいた人。


それは紛れもなく亜嵐くん。
白濱亜嵐
あなたっ…?
あなた

あぁ亜嵐くん…

亜嵐くんはなんとも思ってないんだろう。


その顔。


私の気持ちはわかんない…


仕方ない。


けど…


こんな変な気持ちばかり行き来する。
白濱亜嵐
何してんの!?
あなた

そ、そうなの…私配属になって

白濱亜嵐
え!聞いてないよ!
あなた

言おうとしたよ!さっき電話で…

白濱亜嵐
あ…
ちょっと険悪な空気になった。


やばい。


言いすぎた。
あなた

ごめんっ、亜嵐くん。
そう怒るつもりはなくてね…

白濱亜嵐
俺こそごめん。
話最後まで聞いてやれなかった。
あなた

亜嵐くんは仕事で忙しいんだし…
聞けなくて当たり前だよ。

白濱亜嵐
いや…
あなた

え?

ゴソゴソと後ろから袋を出す。


なんやら高価な袋で
白濱亜嵐
これ。
あなた

なに…これっ

私に差し出してきたのは小さな箱。
白濱亜嵐
一年記念。
あなた

え…?
覚えてくれてた?

白濱亜嵐
当たり前だろ
その当たり前が嬉しくて嬉しくて…


泣かないと決めていたさっきとは違う涙が出てくる。
小森隼
ちょっとちょっと亜嵐くん
何泣かせてるんすか!
数原龍友
彼氏失格やで ~?
白濱亜嵐
ごめん、あなた。
サプライズで渡したくて…
忘れたフリしてた。
ごめん と頭を下げる亜嵐くん。


嬉しいじゃん。


疑ってた私、馬鹿みたい。
あなた

ううん、ありがとう。

亜嵐くんと目を合わせ笑う。


はぁ、、よかった。


ちゃんと好きでいてくれた…
小森隼
良かったな、玲於。
佐野玲於
は?
数原龍友
そうや、玲於が言い出したもんな!
片寄涼太
誰よりもこの記念日早く言いましたからね。
佐野玲於
う、うっせ!
照れた様子の玲於。
あなた

どういうこと?

私は未だに頭で理解はできない。
白濱亜嵐
いや、俺も今日の夜中まで起きてて
ずっと仕事してたからパッとは
思いつかなかったんだ。
あなた

うん

白濱亜嵐
そしたら玲於からLINE来て…
亜嵐くんは自分の携帯を取り出した。
佐野玲於
ちょっと亜嵐くん!
私は亜嵐くんの携帯を受け取る。


玲於「 今日記念日じゃないの? 」


亜嵐「 あ、そうだ。 」


玲於「 忘れてたとかあなた悲しむよ 」


亜嵐「 忘れてるわけねぇし! 」


玲於「 どうすんの?なんかやる? 」


亜嵐「 何か出来ることあるかね? 」


玲於「 サプライズでなにかあげれば? 」


亜嵐「 それいいよね。俺も考えてた。 」





何となく理解はできた。
小森隼
だから玲於良かったねってこと。
佐野玲於
うるせ。
あなた

ありがとう、玲於。
覚えてくれてて…

改めてお礼を言うと照れた様子で頷く。
白濱亜嵐
てか!なんで俺らの記念日覚えてた!?
小森隼
それは僕も正直思いました。
片寄涼太
俺もっすね。
追い詰められたようで玲於の顔は険しい。
佐野玲於
…ってんじゃん。
最後の方しか聞こえない。
佐野玲於
失恋した日とか忘れらんねぇ。
あなた

え?

佐野玲於
俺、本気で好きになったやつあなたしかいない。
だから余計に忘れらんねぇんだ。
小森隼
それは…やばい。
数原龍友
おおっ…あなたちゃん二股かけるか…
関口メンディー
ダメだよ、あなたちゃん。
ボソボソと聞こえてくる声。
佐野玲於
それの何が悪いの?
と、ボソボソ話す組を見下ろす。
みんな大きく横に顔を振って否定。


玲於の圧ってすごい。
でも、私のことまだ忘れられてないの…?


不意にもちょっとだけドキッとした。
佐野玲於
ちょっと、トイレ…隼…。
小森隼
俺!?
佐野玲於
来て…
小森隼
はいっ。
二人で行っちゃったし…


どうすればいいの?私。
数原龍友
玲於、思わぬカミングアウトやわ。
片寄涼太
男ですわ。
関口メンディー
玲於も成長したなぁ!
そんな中亜嵐くんの顔はちょっと険しい。
あなた

亜嵐くん…?

白濱亜嵐
ん?何?
あなた

顔険しい…から?

白濱亜嵐
え、まじ?
顔を触って確認してる。
スタッフ
失礼します、原田さん。
ちょっといいですか?
あなた

はい!

スタッフさんに呼ばれ亜嵐くんとはさよなら。


ん ~ 、名残惜しいけど…


仕事だ。


仕事とプライベートの区別つけなきゃ…
ドアを閉めた時、亜嵐くんにメンバーが投げかけた言葉が


ちょうどドアの閉まった音で聞こえなかった。































白濱亜嵐
…そんなの分かってる。

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