GENERATIONSさんの楽屋に連れてきてもらい
終いには、焼肉にも連れていってくれるだとか…
優しい、GENERATIONSのメンバーは。
そんな時、7人の送迎バスが来て…
ちょっと不安になる。
スタッフさんも困ってる。
ここは、ちゃんと歩いて帰らなきゃ。
みんな疲れてるんだから…気使わせちゃダメだし。
は ~ い と言ってバスは出発してしまった。
ちょっとだけ、照れた白濱さん。
けど、疲れてるよね…
こんな、私の諸事情に付き合わせる訳には…
前を歩いていた白濱さんが急に方向転換し
私の目の前に立つ。
頬が軽く染まる白濱さん。
私のこと…本気で思ってくれてるんだ。
と、私より少し前を歩く。
背大きいんだなぁ…
とか
いい匂いだなぁ…
とか…
髪の毛跳ねてる。
とか。
いろんな白濱さんを見つけた。
ちょっと嬉しくてにやけてしまう。
それを隠そうと下を向いた時
白濱さんが急に止まってぶつかる。
と、駄々をこねる幼稚園児みたいに私に言う。
ちょっと拗ねちゃったかな…
それから、白濱さんは私の前を歩く。
深く帽子をかぶって、マスク。
芸能人…って大変。
こうやって私がいることにも迷惑がかかっている。
私の頭をポンポンとした。
体温はまた、上昇。
最近、よく白濱さんにドキドキさせられる。
前で交差する手をぎゅっと握る。
私の " 勇気 " を認めてくれているよう。
私の、告白は無駄じゃなかったんだと思わせてくれた。
私と白濱さんは違う世界の人間。
それを言い聞かせるかのような二人の距離。
白濱さんは立ち止まって少し離れたところで電話をかけた。
あ ~ あ …
1番、信頼出来ていた人を警察につき出すなんて…
気持ちは晴れるわけない。
白濱さんは何を言ってるんですか。
最近寒くなってきて
頭が凍ったの?
私の声は届いておらず勝手に私が白濱さんの
家に泊まる方向へ流れた。
裕太くん…?
赤髪の人か!
少しだけ聞こえる電話の向こう側の声。
優しそうだったしな、
言っても、相手は男。
私この一日で沢山学んだ。
男をすんなりと部屋に入れちゃだめだって。
白濱さんはちょっと抜けている。
みんなから
" 残念なリーダー "
とよく言われてるが
本当にそうだなって…思ってしまった。
本当にこんなことをしていいのか。
不安でたまらない。
一般人な私と輝く芸能人とのお泊まりは本当に
成立するのでしょうか。
.
家に入れないから着替えがない。
とりあえず下着だけ購入。
副は…貸してもらおう。
店の外でバレないように携帯を見て待つ白濱さん。
どうしても、そのオーラは消せない。
ちょっと急ぎ目に足が進む。
白濱さんのマンションの下に来ると
さっきと同様、中務さんもマスク、帽子をしている。
と言って、部屋に行ってしまった。
なんか、緊張する。
両手で携帯を握って白濱さんからのLINEを待つ。
最近、冷えてきたなぁ。
冬が来るのか。
陽が落ちるのも早くなってきた。
ピロン…
表示には " 白濱さん "
白濱さん「おっけ!」
「今から向かいます。」
そう返信し、マンションのロビーへと入った。
白濱さんが住んでるだけあって内装が凄い。
ちょっとみとれてエレベーターで上がる。
たしか…28階だったな…
高い…
" 28階です "
アナウンスと共に開くドア。
エレベーターから左に曲がったのが白濱さんの家。
ドアに
" SHIRAHAMA "
と、お洒落に文字がはいった表札。
こんな所も白濱さんらしい。
インターホンを押す前にガチャと開いて迎えてくれた。
と、足を踏み入れた途端、白濱さんのいい香り…
あれ…
この匂い…
横の小さい収納のスペースの上に見覚えのあるチューブ。
何度か使って上の方が凹んだ感じのハンドクリーム。
それは、私がお礼として渡したもの。
靴を揃えて部屋に入ると
中務さんはソファでゴロンと寝転がっている。
白濱さんはキッチンで何かをしていて
エプロン…!!!
かっこいい…
どうぞ
と、持ってきたコーヒー。
白濱さんのコーヒーを飲めるなんて…
荷物を端に置いて座った。
トントンと、ソファを叩く。
あの人の行動が蘇ってきて怖くなる。
そっかそっか
って、中務さん。
中務さんは優しいから。
そんな警戒しなくてもいいの…
もう、絶対関わらない。
そう決めた。
中務さんが私の肩をとんとんと後ろから叩いた。
優しい。
中務さんにはこの言葉が一番似合ってる。
言ってまった…って顔で私を見つめないで!
大丈夫です…
もう、聞きました…
今日の夜は楽しくなりそう!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。