第18話

優しさ
1,731
2019/01/05 10:35
GENERATIONSさんの楽屋に連れてきてもらい


終いには、焼肉にも連れていってくれるだとか…


優しい、GENERATIONSのメンバーは。
そんな時、7人の送迎バスが来て…


ちょっと不安になる。
スタッフさんも困ってる。


ここは、ちゃんと歩いて帰らなきゃ。


みんな疲れてるんだから…気使わせちゃダメだし。
白濱亜嵐
あ、俺歩いて帰るわ。
あなた

え!白濱さんっ!?

数原龍友
んじゃ、また後で合流な!
白濱亜嵐
連絡するわ!
は ~ い と言ってバスは出発してしまった。
白濱亜嵐
なら、行こっか。
ちょっとだけ、照れた白濱さん。


けど、疲れてるよね…


こんな、私の諸事情に付き合わせる訳には…
あなた

白濱さん、疲れてますよね。
本当にごめんなさい…

白濱亜嵐
大丈夫 ~ 、大丈夫 ~ 。
あなた

でも、なんでここまで…

前を歩いていた白濱さんが急に方向転換し


私の目の前に立つ。
白濱亜嵐
そんなの簡単なことだよ。
あなた

え?

白濱亜嵐
好きだから。
あなた

す…き…?

白濱亜嵐
あなたちゃんが好きだから
こうやって助けてるの。
頬が軽く染まる白濱さん。


私のこと…本気で思ってくれてるんだ。
あなた

あ、ありがとうございます…

白濱亜嵐
ん、なら行こ。
と、私より少し前を歩く。


背大きいんだなぁ…


とか


いい匂いだなぁ…


とか…


髪の毛跳ねてる。


とか。


いろんな白濱さんを見つけた。
ちょっと嬉しくてにやけてしまう。


それを隠そうと下を向いた時


白濱さんが急に止まってぶつかる。
あなた

わっ…

白濱亜嵐
ねぇ、白濱さんって呼び方やめて?
あなた

え?

白濱亜嵐
亜嵐にしてよ。
あなた

そ、そんなこと出来ませんっ…

白濱亜嵐
だって、玲於のことくんずけじゃん。
あなた

玲於くんとは同い年で…だから…

白濱亜嵐
え ~ 、やだ。
俺もくん付けてよ。
と、駄々をこねる幼稚園児みたいに私に言う。
あなた

でも、白濱さんは、白濱さんです。

白濱亜嵐
え ~ 、ならいいよ。
ちょっと拗ねちゃったかな…
それから、白濱さんは私の前を歩く。


深く帽子をかぶって、マスク。


芸能人…って大変。


こうやって私がいることにも迷惑がかかっている。
あなた

あ、あの。

白濱亜嵐
ん?
あなた

私…ほんとに迷惑じゃありませんか?

白濱亜嵐
うん、迷惑な訳ないよ。
私の頭をポンポンとした。


体温はまた、上昇。


最近、よく白濱さんにドキドキさせられる。
白濱亜嵐
あ、あの話聞かせてよ。
あなた

あの話?

白濱亜嵐
涼太くんとの話。
あなた

あ ~ …、ははは…

白濱亜嵐
なになに、
あなた

実はですね…言っちゃったんです。

前で交差する手をぎゅっと握る。
あなた

好きだって…

白濱亜嵐
え!
あなた

バカでよすよね…ほんと。

白濱亜嵐
すごい勇気。
あなた

え?

白濱亜嵐
俺でもそんな勇気出ないわ ~ !
私の "  勇気  " を認めてくれているよう。


私の、告白は無駄じゃなかったんだと思わせてくれた。
私と白濱さんは違う世界の人間。


それを言い聞かせるかのような二人の距離。
白濱亜嵐
あ、警察に一応連絡しなきゃね。
あなた

え!

白濱亜嵐
え!って、そりゃしなきゃ。
あなた

警察だけには…お世話になるなって…

白濱亜嵐
でも、あなたちゃんの身が危ないのに
そんなこと言ってられないよ。
あなた

はい…

白濱さんは立ち止まって少し離れたところで電話をかけた。
あ ~ あ …


1番、信頼出来ていた人を警察につき出すなんて…


気持ちは晴れるわけない。
白濱亜嵐
よし、終わった。
警察が1度見てみるって。
あなた

あありがとうございます…

白濱亜嵐
今日、俺ん家泊まる?
あなた

は…?

白濱さんは何を言ってるんですか。


最近寒くなってきて


頭が凍ったの?
あなた

な、何を言ってるんですか。

白濱亜嵐
いや、あなたちゃん怯えているようだし…
あなた

でも、それは駄目ですよね。

白濱亜嵐
あ、なら裕太くん呼ぶ?
あなた

え?

白濱亜嵐
俺だけが不安ならもう1人いたら安心でしょ。
あなた

そ、そういう事じゃ…

私の声は届いておらず勝手に私が白濱さんの


家に泊まる方向へ流れた。


裕太くん…?


赤髪の人か!
白濱亜嵐
あ、裕太くん?今日ウチ泊まれる?
少しだけ聞こえる電話の向こう側の声。


優しそうだったしな、
言っても、相手は男。


私この一日で沢山学んだ。


男をすんなりと部屋に入れちゃだめだって。
白濱亜嵐
裕太くんいいって。
あなた

は、はぁ…

白濱亜嵐
大丈夫、大丈夫!
裕太くんいるから安心!
白濱さんはちょっと抜けている。


みんなから


" 残念なリーダー "


とよく言われてるが


本当にそうだなって…思ってしまった。
あなた

本当に大丈夫ですかね。

白濱亜嵐
マンションに入る時だけ別々で入ろ。
あなた

はい…

本当にこんなことをしていいのか。


不安でたまらない。


一般人な私と輝く芸能人とのお泊まりは本当に


成立するのでしょうか。
.
家に入れないから着替えがない。


とりあえず下着だけ購入。


副は…貸してもらおう。


店の外でバレないように携帯を見て待つ白濱さん。


どうしても、そのオーラは消せない。
あなた

白濱さん、おまたせしました。

白濱亜嵐
ん、行こ。裕太くんもう来るから。
ちょっと急ぎ目に足が進む。
白濱さんのマンションの下に来ると


さっきと同様、中務さんもマスク、帽子をしている。
あなた

中務さん、すみません…

中務裕太
あ ~ 、ええで!
白濱亜嵐
なら、俺がLINEしたらあがってきて。
あなた

分かりましたっ…

と言って、部屋に行ってしまった。


なんか、緊張する。


両手で携帯を握って白濱さんからのLINEを待つ。
最近、冷えてきたなぁ。


冬が来るのか。
陽が落ちるのも早くなってきた。


ピロン…



表示には "  白濱さん  "


白濱さん「おっけ!」


「今から向かいます。」


そう返信し、マンションのロビーへと入った。


白濱さんが住んでるだけあって内装が凄い。
ちょっとみとれてエレベーターで上がる。


たしか…28階だったな…


高い…

" 28階です "



アナウンスと共に開くドア。
エレベーターから左に曲がったのが白濱さんの家。


ドアに


" SHIRAHAMA "


と、お洒落に文字がはいった表札。
こんな所も白濱さんらしい。
インターホンを押す前にガチャと開いて迎えてくれた。
白濱亜嵐
いらっしゃい!
あなた

お邪魔します!

と、足を踏み入れた途端、白濱さんのいい香り…


あれ…


この匂い…
横の小さい収納のスペースの上に見覚えのあるチューブ。
あなた

あ、使ってくれてるんだ…

何度か使って上の方が凹んだ感じのハンドクリーム。


それは、私がお礼として渡したもの。
白濱亜嵐
あなたちゃん?
あなた

あ!はい!

靴を揃えて部屋に入ると


中務さんはソファでゴロンと寝転がっている。
中務裕太
亜嵐くんの家なんか落ち着くねんなぁ。
白濱さんはキッチンで何かをしていて


エプロン…!!!


かっこいい…
白濱亜嵐
ふふ、何それ、裕太くん。
中務裕太
いや、俺もわからへん笑
実家感があって落ち着くんかなぁ。
白濱亜嵐
有難いことなのかそうじゃないのか…笑
どうぞ


と、持ってきたコーヒー。


白濱さんのコーヒーを飲めるなんて…
荷物を端に置いて座った。
中務裕太
あ、あなたちゃん、ここおいでよ。
トントンと、ソファを叩く。


あの人の行動が蘇ってきて怖くなる。
あなた

だ、大丈夫です!

中務裕太
ほんまに?
あなた

はい!

そっかそっか


って、中務さん。


中務さんは優しいから。


そんな警戒しなくてもいいの…
白濱亜嵐
その彼どんな関係だったの?
あなた

もう、1番信頼していた同僚です。

白濱亜嵐
あちゃ …
中務裕太
それは災難やったなぁ。
あなた

ほんとです…

もう、絶対関わらない。


そう決めた。
白濱亜嵐
あ!今日何時から?
中務裕太
ん ~ と、7時にいつもの店やって。
白濱亜嵐
了解。
あなた

あの、ほんとに私もいいんですか?

白濱亜嵐
うん、全然?
中務裕太
俺らそういうの気にしいへんで!
気いつかわんでええよ。
あなた

…はいっ!ありがとうございます。

中務さんが私の肩をとんとんと後ろから叩いた。
優しい。


中務さんにはこの言葉が一番似合ってる。
白濱亜嵐
な ~ に、裕太くん。
あなたちゃん狙ってるの。
中務裕太
アホか。
あなたちゃんは亜嵐くん…あ…
言ってまった…って顔で私を見つめないで!


大丈夫です…


もう、聞きました…
白濱亜嵐
もう言ったから大丈夫。
中務裕太
お ~ 、さすがリーダー。
白濱亜嵐
もう、準備始めますか!
あなた

はいっ!

今日の夜は楽しくなりそう!

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