亜嵐side
電話が終わってスタッフに呼ばれたかと思いきや
やはりまだだったみたいで待機中。
みんなそれぞれ違うことして待ってる。
隼と裕太くんでアメコ行ったし。
メンさんは自分のカバン写真撮ったりしてる。
龍友くんと涼太はなにやら歌のことを話してる。
んで、残るは俺ら二人。
もう一度あなたに電話かけようとしたけど
あなただって忙しいしなぁって。
なんて、俺から離れないのは隼がいないから。
1人になりたくないんだな、ってすぐ分かる。
可愛い奴め。
といって玲於は俺にカメラを向ける。
___パシャ
クックックッと笑って俺から携帯の画面を見えないように
何度も姿勢を変えて見せてくれない。
あ、裕太くんが一人で帰ってきた。
やはり機嫌が悪い。
俺が 裕太くんが帰ってきた って言ったら
ずっと俺といる時やっていたゲームもぶち切りして
隼の帰りを待ってたから。
ドアから廊下を覗いて待つ玲於。
かわいい。
俺もさっきのお返しとして1枚写真を撮った。
ぷりぷりおケツが強調された写真。
いい写真だ。
さすが俺。
インスタに投稿した。
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(( 写真 ))
佐野玲於激写。
ぷりぷりおケツが強調された写真です。
#いいケツしてる
#隼が
#戻ってこなくて
#怒ってます
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あげた瞬間にいいねを押した人。
それはあなた。
なんだよ、暇かよ!
コメントは続々と書かれていく。
「 玲於可愛いかよ。 」
「 亜嵐くん玲於をありがとう! 」
「 隼早く戻ってきてあげてー! 」
など。
見ていて面白い。
ゲームの約束をしていたんだそう。
時刻に間に合ってないだとか…
子供みたい。
そういうと興味無さそうに見上げるふりをしてるのは
バレバレだけどあえて言わない。
嬉しいんだろ!
照れてんの、玲於。
隼かやる気になると玲於も燃えたのか
ニコニコして携帯を取り出す。
ストーリーでズームを繰り返したりして2人を写す。
それを何となくストーリーにアップ。
と、一人で笑っていた時に1つの通知。
あなた 「 仕事じゃないの? 」
そりゃ、疑うよね。
こんな動画あげてたら…
「 待機中! 」
あなた「 そーなのね。」
「 あなた何してた? 」
あなた「 亜嵐くんに会いたいなぁって考えてた! 」
おれの心臓はついに寿命が来たみたい。
前かがみになってもう起き上がれない。
倒れそう。
あいつ…いつそんな言葉覚えたんだ!
コソコソ話し声が聞こえるんだが。
俺はまだ気づいてないふりをして頭を挙げない。
ふ ~ ん。
あ、そういうことか。
この愛のメッセージは玲於が仕向けたのね、
俺は頭を起こして玲於と隼の元へゆっくりと近寄る。
ニコニコして不気味だろうなぁ。
隼が俺に気づいてちょんちょんと玲於の膝を叩く、
玲於と隼の顔は青ざめる。
やっべ、おもしろい。
ね?ああ。
の会話。
左手に潜んでいた玲於の携帯をスルッと取った。
LINEを開くと1番上にあなた。
ムカつく。
なんで玲於なんかと。
最終履歴は玲於で
「 スタンプを送信しました 」
玲於全くスタンプ使わないのに…!
履歴を開くと結構な量の会話。
…傷つくけど。
見てやる。
とりあえず今日の会話から。
「 ねぇ、玲於、亜嵐くん何してる? 」
第一声があなた。
最初はちょっと疑ったが確かにあなた。
「 俺らのこと盗撮してる 」
あなた 「 ふ ~ ん 」
「 なに? 」
あなた 「 気になっただけ。 」
「 亜嵐くんにLINEして 」
あなた 「 何を? 」
そっからさっきのに至る会話が続いている。
こういう事だったのか。
やっと理解した!
と、最後の方に残っていた言葉。
あなた 「 こうやって言ってると本当に会いたくなる 」
おいおい…
やめてくれよぉ。
2人は椅子に正座して待っている。
まぁ、結果はよかったかな。
許してあげようじゃないか。
はぁ、最年少は手がかかるわ。
" こうやって言ってると本当に会いたくなる "
そう書いてあったことを思い出して
バスへ乗り込む前、あなたにLINEで伝えた。
「 俺もあなたに会いたい 」
俺のあなたへの愛は誰にも負けない気がした。
絶対俺が幸せにするんだ。
そう思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。