第40話

お見舞い
1,089
2020/04/13 16:05
夜霧 蘭
夜霧 蘭
失礼するよ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…おや!カナ…ヲちゃん、だよね?
栗花落 カナヲ
は、はい。
カナヲちゃんは炭治郎くんの眠る隣に座っていた。


どうやら眠りから覚めるのを待っているらしい。


…………まさか。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…え、あれ、そういう感じ?
栗花落 カナヲ
??…何がですか…?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あ、恋仲なのかと。
栗花落 カナヲ
ち、ちがっ、違います…!!
私と、炭治郎はっ、決して!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
………そうかい。(笑)
必死に否定する姿を見て、なんだろう。


凄く分かりやすいな。


まぁ…両方とも気付いていなさそうだが。


そこは私が言うことではなさそうだね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あ、これ、要らないかもしれないが、栗羊羹な。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
彼が目覚めたら皆で食べるといいよ。
と、私のおすすめの栗羊羹を置いておく。


いや、好きなものとか分からないからね。
栗花落 カナヲ
ありがとうございます…。
栗花落 カナヲ
えっと…。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あぁ、いや。ただのお見舞いな。
何をしに来たんだとも言わんばかりの顔で、


いや、そうだよね。


柱である私がわざわざ任務復帰して、


こんな隊員のところに、ただお見舞いなんて。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
そういえば、私のこと分かるかい?
栗花落 カナヲ
月柱〝月夜叉〟夜霧蘭さん、
…ですよね?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
その通り!良かったぁ、いつも会っても話さなかっただろ?
いや、ほんと。随分変わったものだよ。


人の成長って見ると染々親心芽生えそうだね…。


会って話し掛けても、笑顔で無言だったし。


今じゃ色んな表情、言葉を話してくれる。


きっと心境に何か変化があったのかな。


それなら、今なら。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
まぁ…カナエちゃんも言ってたからね。
栗花落 カナヲ
!…カナエ…姉さんが、何を…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ん?うーん、内緒。
栗花落 カナヲ
えっ!
おっと、少し意地が悪かったかな?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
はは、そんなに聞きたいかい(笑)
栗花落 カナヲ
その…姉なので…。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
うん、まぁね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あぁ、窓開けるよ?
栗花落 カナヲ
は、はいっ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
カナエちゃんはさ、これでも昔、
大事な友だったんだよ。
窓を開けて、空を見る。


今でも、彼女のことは鮮明に思い出せる。
栗花落 カナヲ
…知ってます…。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
それでね、いつかの時に、
二人で話していたんだ。
『どちらかが死んだ時』
夜霧 蘭
夜霧 蘭
それぞれの大事なものを守ろう、
ってね。
栗花落 カナヲ
……!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
お姉さんが何を守ってほしいか知りたいだろう?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
いつ死ぬか分からないし、
死ぬ前に言っておくね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
君と、しのぶちゃん。…だよ。
栗花落 カナヲ
………。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
そんな顔しないで、(笑)
何も言えない、って感じだね。


目が潤むのも分からなくないさ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
私はちなみに探している師匠と、
天元くんの家族。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
どちらも私の恩人だからね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
それで…カナエちゃんは亡くなった。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
私の守るものが増えた訳さ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
だから、何度か君に話し掛けたのも覚えてるだろう?
栗花落 カナヲ
………(頷く)。
栗花落 カナヲ
…………でも、師範は…
胡蝶 しのぶ
カナヲ。
栗花落 カナヲ
!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
おや、しのぶちゃん。
話、聞いちゃってたかい?
胡蝶 しのぶ
そんなぁ、窓開ける所からしか聞いてませんよ~?
気付くと入り口にしのぶちゃん。


まさか聞かれてたとはね。


気配消されちゃ困るんだが?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
最初から聞いてるじゃないかーい。
胡蝶 しのぶ
そうだ、カナヲ。
アオイが呼んでいましたよ。
栗花落 カナヲ
は、はい、今行きます。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
またねぇー。
栗花落 カナヲ
…(お辞儀)
夜霧 蘭
夜霧 蘭
……で、話遮っちゃって。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
何がそんなに聞かれたくなかったんだい。
胡蝶 しのぶ
…ここでは何です。
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