第9話

しのぶちゃん
2,117
2019/12/03 12:01
パチッと目が開いて、見えたのは白い天井。


あれ、ここ蝶屋敷だな。


あれ、なんでここにいるんだ?


……あ。蜜璃ちゃんと会って、それで、


背中が猛烈に痛くなって意識吹っ飛んで…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
よい…いってっ!!
ええぇ、今起き上がろうとしただけだよ!?


せ、背中すんごい痛い!!
胡蝶 しのぶ
あら、起きましたか。
ずっと起きるのを待っててくれていたのか、


隣の椅子に座って待っていてくれていた。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
し、しのぶちゃん、
私ぶっ倒れてどうなったかい?
背中がじんじんと熱い、でも、


もう知ったこっちゃない。
胡蝶 しのぶ
ぶっ倒れるとこまでは覚えてるんですね…?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
うん、だって背中痛かったし。
胡蝶 しのぶ
…………。
え、しのぶちゃん?


こわい、こわい。


思考が読めない、怖い。


笑顔止めて?ほんとに、ねぇ。
胡蝶 しのぶ
背中が痛いのにも関わらず、
ここへ来なかった…と?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
いや、来ようとは思った…(笑)
けど途中で蜜璃ちゃん慰めてたら、
痛すぎて、気付いたら気絶を…(笑)
胡蝶 しのぶ
………ほんと、何してるんですか。
一応、甘露寺さん達からも聞きましたけど、全く……。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
〝達〟って、小芭内くん?
胡蝶 しのぶ
いえ、宇髄さんも。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
え、何で天元くん。
胡蝶 しのぶ
『なんとなく心配になって来てみたら、案の定派手に倒れてた』
……だそうです。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あはは…
胡蝶 しのぶ
貴女の怪我は、
背中に大きく切り傷がありました。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あー、味方庇ったからね。
私なら、避けることくらい簡単だが、


2体居て、味方の剣士を庇ったらその反対から切られた。


まぁ、気合いで倒したけどな。


舐めるなよ、柱。


確かその後、適当にサラシみたいに、


包帯を巻いただけだったかもしれない。
胡蝶 しのぶ
………。幸い、鬼の血は混ざっていなかったです。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
不幸中の幸いってやつかい。
胡蝶 しのぶ
………。そろそろ怒りますよ?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
えっ。
素直に応えたつもりだったんだけど、


癪に障ってしまった様だ。
胡蝶 しのぶ
はぁ………。
大きなため息と同時に、いつもの笑顔は消えた。
胡蝶 しのぶ
次から怪我をしたら、包帯を巻くだけでなく、しっかり治療を受けてください。というか受けて。
その辺の剣士だったら傷から菌が入って膿むだけでは済みませんからね。
まぁ貴女のよく分からない治癒力で傷は縫えば無事でしたけど。
麻酔だって、柱の皆さんでも半日寝るんです。貴女なんで30分で起きてるんですか?心配するんですこっちは。血相変えて運んできた皆の気持ちにもなってください。私も死んだかと思いました、本当に。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
……すみませんでした…。
圧倒されるのと、正論しか言われていなくて、


返す言葉が見つからない……。
胡蝶 しのぶ
今日は寝ていてください、
動いたら任務行かせませんから。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
うっ……は~い……。
何だろう、何かを聞き忘れた様な、気がする。




……あ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
しのぶちゃん!!
胡蝶 しのぶ
…?はい?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
炭治郎くん達は?
〝炭治郎くん〟という言葉に、


ピキピキとキレそうなしのぶちゃん。


あら、これはまさか地雷踏んだっぽいな。
胡蝶 しのぶ
消えたんです、
傷が治ってないのにも関わらず。
胡蝶 しのぶ
貴女の様に…。
笑顔でキレてるから、余計怖い。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
うっ。すみませんでした。
胡蝶 しのぶ
他二人は元気そうでしたけどね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…そっか。
胡蝶 しのぶ
貴女の心配していることは、
精神面ですか?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
……まぁね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
目の前で誰かが死ぬって、
辛いことだから。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
しのぶちゃんもよく知ってるでしょ?
胡蝶 しのぶ
…そうですね。
しのぶちゃんはそう少し上を見上げた。

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