息が途切れ途切れの隊員四名。
そのうち、私が相手をする鬼を見て、
「ひっ」と怖じ気づく奴もいた。
まぁ、分からなくもない。
目の前、それともその後でも、
一緒に来た隊員が大怪我。
見ていなくてもどんな状況だったか。
大体想像がつく。
だけど、もう、慣れなくてはいけないんだよ。
むしろ、だから自分が戦わないといけない、
位思わないとね。
少し遠い四人に、鬼の相手をしつつ言い放つ。
私がやりたかったのはこれだ。
今の隊員達に足りないもの。
見てればよく分かる。
それは、根性や腕の良さ。
それだけじゃない。
足りないのは、圧倒的〝経験〟の差だ。
それを埋めるには、
実戦あるのみ。
若手を育てなければ。
私らがいつ、いなくなってもいいように。
少し冷めた言い方だが、
身を引き締めて貰うにはこうするしかないからね。
四人に寄って、目を見る。
まだ怯えている、でも、やらなくてはいけない。
私は、『柱』というこの位を、
使ってやろうなんていう乱暴な考えは無いが、
こう言った方が、伝わりやすいだろう?
そうすると、一人の隊員を除く三人は、
刀に力を込めて、目が据わった。
だけど、一人の隊員は、まだ怯えているようで。
だが、構っている余裕はない。
もう鬼は、私達を襲おうとしていた。
良い団結力。
階級とか、そういうのじゃない。
目的は同じなのだから。
正直、私、位をつけるの嫌いなんだけどね(笑)
と、中々に再生速度の早い腕や足を、
少し息が上がりながらも切り落とす。
いやぁ、四人守ってるんだよ?
…あの隊員は…駄目かな。
私は、少し他に目を向けると、一人の隊員は、
震えていた。
心、精神的な面が大怪我しちゃってる。
混乱して、自害でもされたら、
たまったもんじゃない。
仕方ない、少し助言を…
これはこれは。
中々見込みある三人だな。
それから、ビクビクとした隊員も。
大きく頷き、やっと目が据わった。
「頼む」だなんて言葉。
本来柱が階級が下の隊員に言う言葉ではない。
でも、こういうときに、
人間は頼られると、数倍強くなる。
人の身になって考えれば、
簡単に分かること。
さて、頼むよ。
四人とも。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。