第23話

「頼むよ」
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2020/04/17 04:06
村田
ただいま、戻りました!!
息が途切れ途切れの隊員四名。


そのうち、私が相手をする鬼を見て、


「ひっ」と怖じ気づく奴もいた。
まぁ、分からなくもない。


目の前、それともその後でも、


一緒に来た隊員が大怪我。


見ていなくてもどんな状況だったか。


大体想像がつく。
だけど、もう、慣れなくてはいけないんだよ。


むしろ、だから自分が戦わないといけない、


位思わないとね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
怪我の隊員は!!
村田
今頃山を降りた所かと!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
よし。隊員四名!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
道は私が開くから、
夜霧 蘭
夜霧 蘭
この鬼の頚を斬って見せよ!!
少し遠い四人に、鬼の相手をしつつ言い放つ。
村田
!?
隊員
!?
私がやりたかったのはこれだ。
今の隊員達に足りないもの。


見てればよく分かる。


それは、根性や腕の良さ。


それだけじゃない。


足りないのは、圧倒的〝経験〟の差だ。


それを埋めるには、


実戦あるのみ。


若手を育てなければ。


私らがいつ、いなくなってもいいように。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
聞こえたかい?
少し冷めた言い方だが、


身を引き締めて貰うにはこうするしかないからね。
四人に寄って、目を見る。


まだ怯えている、でも、やらなくてはいけない。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
良いか、柱のこの私が、
道を開くと言った。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
これ以上、
手間を掛けさせないでくれるかい。
私は、『柱』というこの位を、


使ってやろうなんていう乱暴な考えは無いが、


こう言った方が、伝わりやすいだろう?
そうすると、一人の隊員を除く三人は、


刀に力を込めて、目が据わった。
だけど、一人の隊員は、まだ怯えているようで。
だが、構っている余裕はない。


もう鬼は、私達を襲おうとしていた。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
私が、助けるから、
頚を斬る気で鬼を狙え!!
隊員
はい!!
村田
お前は右から!
柱が守ると言ってくださったんだ…
村田
俺らが折れてどうする!
隊員
おう!じゃあ俺は後ろから回り込む!
良い団結力。


階級とか、そういうのじゃない。


目的は同じなのだから。


正直、私、位をつけるの嫌いなんだけどね(笑)
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ふっ。
と、中々に再生速度の早い腕や足を、


少し息が上がりながらも切り落とす。


いやぁ、四人守ってるんだよ?
…あの隊員は…駄目かな。


私は、少し他に目を向けると、一人の隊員は、


震えていた。


心、精神的な面が大怪我しちゃってる。


混乱して、自害でもされたら、


たまったもんじゃない。


仕方ない、少し助言を…
隊員
おい!!お前!!
隊員
…ひっ。
村田
何に怖がっている!
仲間が目の前で斬られたことか!?
隊員
村田の言う通りだ!
俺らは何の為に鬼殺隊に入った!
隊員
それに今は柱もいる!!
これ以上…俺らのことで手をかけさせるな!!
隊員
……!!
これはこれは。


中々見込みある三人だな。


それから、ビクビクとした隊員も。


大きく頷き、やっと目が据わった。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
今から邪魔する腕を全て切り落とす!
好機チャンスは一度だ!頼むぞ!!
隊員
はい!!
「頼む」だなんて言葉。


本来柱が階級が下の隊員に言う言葉ではない。


でも、こういうときに、


人間は頼られると、数倍強くなる。


人の身になって考えれば、


簡単に分かること。


さて、頼むよ。


四人とも。

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