首をとても傾げて、こちらを見てくる。
うん…可愛いな。
そうか…これは彼の任務だったのかい!
いや、でも危なかった。
助けなければ、谷崎さんがやられていた。
ガシッ!と肩を掴む、あれ、少し痛いかな…
可愛い顔が台無しになる程、
とても嫌そうな顔をした後、
仕方無いなとでも言いそうな顔で了承してくれた。
おっと、声が小さいぞ、なんて言いたいとこだけど、
押し付けたのは私だし、やりたくないのは当然。
仕方無いと口を開かなかった。
踏み出した足を止めて、振り返る。
深く、深く、頭を下げてくれた。
大したことはしていない。
目の前で起こる嫌な事を無くしただけ。
私は振り向かず、
遊郭への道をまた風のように走り始めた。
そして、大体吉原までの道を四つに分けたとして、
大体一つ目の地点まで来れた所で、
夜が明けた。
良かった、これなら夜には着けるかな。
いや、地味に間に合わないかもしれないな。
少し急がねばならないな。
とか思っていると、隣で飛んでいた有栖が、
そして、有栖も加速、私も更に加速して、
地面を蹴り、いざ吉原へと走った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。