第34話

別れと約束
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2020/03/20 14:42
夜霧 蘭
夜霧 蘭
無一郎くん!
時透 無一郎
…??あれ…お館様は、単独任務って…?ん…?来る村間違えたかなぁ…?
首をとても傾げて、こちらを見てくる。


うん…可愛いな。


そうか…これは彼の任務だったのかい!


いや、でも危なかった。


助けなければ、谷崎さんがやられていた。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
いや!間違えていないさ、すまない。私がもう片付けてしまってね!
時透 無一郎
…えぇ…。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
で、私今すぐ吉原、
遊郭に行かなければ行けなくて!
ガシッ!と肩を掴む、あれ、少し痛いかな…
時透 無一郎
お、おぉ…力…強…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
事後処理お願いしても良いかい!?
時透 無一郎
あぁ………え?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ほんと押し付け良くないとは思うけど、元々君の任務だし!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ほんと!ごめん!
時透 無一郎
…まぁ…そうですし…分かりました…。
可愛い顔が台無しになる程、


とても嫌そうな顔をした後、


仕方無いなとでも言いそうな顔で了承してくれた。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
おぉ!ありがとね!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
明日の夜には遊郭に着きたくて…
谷崎
ん!?明日!?夜!?
何言ってるんですか夜霧さん!?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
え?どうかしました?
谷崎
どうかしました…じゃなくて!
谷崎
ここから遊郭は〝三日〟
はかかるんですよ!?
谷崎
それを一日でなんて…無謀です!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あ、そこ、谷崎さんの悪いとこです。
すぐ物事を悪く考えない。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
そんなのやってみないと、分かりません。だから、やってみるんです。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
それじゃ!この一秒も勿体無い!
無一郎くん、あとはよろしくね!
時透 無一郎
あ…はい…。
おっと、声が小さいぞ、なんて言いたいとこだけど、


押し付けたのは私だし、やりたくないのは当然。


仕方無いと口を開かなかった。
谷崎
あ、あの!夜霧さん!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ん?何でしょう。
踏み出した足を止めて、振り返る。
谷崎
この村を代表して…村を救って頂き、
本当に、ありがとうございました。
深く、深く、頭を下げてくれた。


大したことはしていない。


目の前で起こる嫌な事を無くしただけ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…いえいえ、何しろ性分ですので。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
谷崎さんこそ〝お約束〟忘れないようにしてくださいね?待ってますから。
谷崎
…!はい!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
それじゃあ!
私は振り向かず、


遊郭への道をまた風のように走り始めた。





そして、大体吉原までの道を四つに分けたとして、


大体一つ目の地点まで来れた所で、


夜が明けた。


良かった、これなら夜には着けるかな。


いや、地味に間に合わないかもしれないな。


少し急がねばならないな。
とか思っていると、隣で飛んでいた有栖が、
有栖
オイ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
何だい、今、走ってるのが君には見えないかい?
有栖
バッチリ見エテルシ、走ッテル(飛んでる)ノハ同ジヤ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
じゃあ何だい!
有栖
コノママダノ道ダト、
人混ミ二巻キ込マレテ面倒ヤゾ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…何と、それを早く言わないかい。
有栖
声ハカケタヤナイカ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
うぅむ…その道以外で最短の道はあるかい?
有栖
アルガ…ソレダト間二合ワナインヤ…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
いや、間に合わせる。
道を教えてくれ、有栖。
有栖
仕方無イヤツヤナ…付イテクルンヤゾ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
誰に向かって行ってるんだい!
そして、有栖も加速、私も更に加速して、


地面を蹴り、いざ吉原へと走った。

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