第35話

どこまでも続く道
1,201
2020/03/21 09:00
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ハッ…ハッ…
有栖
オ、オイ…速度落トスカ…?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
いや…構わない、
そのまま案内頼む…。
もう走り出してから約10時間。


やっと半分の所まで来れた…。


いや、これでは間に合わない。


どうしても、どうしても今日で無いといけない。


そんな気がする。


まぁ勘だ。


それに早く着いて悪いことなど一つもない。


私の勘違いであることを祈ろう。


息は荒く、吸うことも出来なくなってきたが、


関係ない。走るしかないんだ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ハッ…ハッ…ハッ…
有栖
オイ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
何だい…
有栖
ソコニ街ノ屋台ガアルンヤ。
一度何カ口ニ入レナイト…
有栖
案内ハシナイ!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
なっ、我儘だな…。
有栖
オ前ハ食ウト強クナルヤロ。
ダカラ食エ。
有栖
ソシタラマタ走ルンヤ!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…ハッ…ハッ…有栖の癖に…
随分言うようになったな…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…仕方ない。少し休憩にしようかい。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
だが食べ歩きだな。時間が惜しい。
少しでも進みたいんだ。
有栖
…ワカッタ。早ク買ッテコイヤ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あぁ。
私は、焼き鳥の串を三本と、


西の方の食べ物の〝たこ焼き〟


とやらを買ってみた。


焼き鳥は主人が『顔が良いから』と、


おまけして二本追加してくれた。


なんともお優しい方だったな。
私は歩きながら、焼き鳥を食べていく。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
うん、旨い。疲れた体に染みるな。
有栖
オイ!ソレハタコ焼キヤナイカ!?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あぁ、美味しそうでなぁ。
そういえば有栖の出身の食べ物だな。
有栖
タ、タコ…久シブリヤ…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
一口要るかい?
有栖
イインカ!?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
有栖も疲れただろう。
これくらい、食べておきなさい。
有栖
アリガトウナ!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
気にするな。
と、出来るだけ早歩きで食べつつも、


どんどんと進んでいく。
そして、
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ご馳走さまでした。
有栖
ゴミ、貸セヤ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
え?
有栖
ソッコー捨テテクル!
ココヲマッスグ走ッテイクンヤゾ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
分かった!後で合流しよう!
有栖
後デヤテ?ソンナモンスグヤ!!
バサッ…と、羽が風を切る音がし、飛び去っていく。


ここを真っ直ぐ、だったな。


とにかく、走ろう。


お腹に物も入った。


飲み物も屋台の主人に貰って飲ませて頂いた。
有栖
間ニ合ッタナ!ソコ右ヤデ!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
有栖!真っ直ぐじゃないのかい!?
有栖
ソコガ渋滞ナンヤ!詳シク言エバ、
マツリをシテイルンヤ!
有栖
ダカラ通ロウニモ通レヘン!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
なるほどな、助かるよ有栖!
有栖
ナァニコレシキ!
アト10時間ハ走ルゾ!行ケルカ!?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
く……きつそうだが、
やるしかないな!
有栖
ソノ通リ!断ル選択肢ナンテ無イデ!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
はは、有栖こそ疲れたら言うんだぞ?
有栖
フン!オ前ヨリハ体力アルデ!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
そうかいそうかい…。
さて、おしゃべりはここまで。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
かっ飛ばすから案内よろしく!!
有栖
任セトキ!!
と、息を切らしながら、


地面を蹴り続けた。

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