人生初の失恋を、いまさっき経験した.
最近は藤原くんのことでいっぱいいっぱいで、遊佐とも話せていなかった.
遊佐のことも大切にしたいな.
遊佐が絆創膏を貼ってくれた.
遊佐といると心が穏やかになる気がする.
そう言って私たちは別れた.
春陽が少し嬉しそうだ.
春陽は私の傷のことを知っている.
けれど彼も私を拒絶しなかった.
小学校の頃は私を庇ってくれたし、中学校でもずっと私のことを気にかけてくれた.
春陽と歩叶が心配そうな顔でこっちを見ている.
私ももうこの2人に嘘をつきたくない.
今までのことをすべて2人に話した.
今まで友達がいなかったこと.
だけど藤原くんのおかげで友達ができたこと.
藤原くんが私の傷痕を綺麗と言ってくれたこと.
私が藤原くんに恋をしたこと.
藤原くんには彼女がいたこと………
2人が泣きそうな顔をしていて、私は少し笑ってしまった.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。