この時、なぜか俺はイラッとした.
かもしんないって何だよ.
俺はハッと我に返った.
俺、なんで怒ってるんだろう.
柊の恋を応援しよう.
俺は別に恋として蓮のことを好きじゃないし.
蓮が振り返った.
その時.
ズルッ
ドサッ
蓮が俺を下敷きにし、倒れ込む.
蓮の綺麗な長髪が、俺の顔にかかる.
蓮と目が合う.
蓮が急いで退けようとする.
嫌だ.
まだ触れていたい.
俺は蓮の髪を指に絡めて、蓮の頬に触れた.
柊の恋を応援しよう、なんて嘘ばっかりだ.
今もこうやって柊に「こいつは俺のだ」って
見せつけてる.
前言撤回.
俺は蓮が好きだ.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!