くっ…、くそう… 腹が立つ。
持っていたこの部屋の合鍵を、黒いハイヒールの中へ上から落とした。
何も知らずに靴を履いた泥棒ネコが、踏んづけて怪我をすればいいとさえも思ってる。
喘ぎに喘ぎまくってる女の声を、どうせだったらご近所さんに聞かせてあげようか。
手に持っていたエコバックを押えに、玄関のドアを全開にしてやった。
ここへ来る前にスーパーへ寄ってきたんだ。
"凪沙のカレーが食べたい。15時に来て" そう蓮からラインが来たのは今日の午前中。
だから、カレーの材料がエコバックの中に入ってる。
あとは、蓮の好きなビールと私の好きなハイボールも。
台風でもこない限りこのドアは閉まらないはず。
フフフ。ざまーみろ。天罰よくだれ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。