第5話

.
83
2018/03/28 12:19
ボヤっとした視界。

徐々にはっきりと見えてきた。

「あれ・・・?ここって・・・?」

自分の部屋?

「えっ!!!」

私は飛びあがるように起きた。

「えっ、えっ、夢!?今までの全部夢!?」

私は、記憶売却屋に騙されたとかじゃなく、夢を見ていたということか?

「・・・最悪じゃん・・・」

そう思ってベッドから起き上がる。

ふと目覚まし時計を見ると、いつも起きる時間帯だった。

「えっ?」

私は思わず声を上げる。

時間に驚いたわけではない。

「夢じゃ・・・なかった・・・」

その隣に置いてあった大金だ。

軽く見て50万はある。

ということは、私の辛い記憶は50個あったのか・・・

全部消えてなくなった。

辛い記憶が売れて、お金になった。

「就職しなくていいじゃん。」

こんだけお金があれば生活に困らない。

しばらくは生活できる。

「やったーーー!!!!」

就職活動という苦しいものに参加しなくていいんだ!

「幸せの連続じゃん!」

そう言えば、私って何回就職試験を受けたんだろう。

落ちたんだっけ?

忘れたや。

あっ、消されたのか。

いいや、そんなこと覚えている必要もないから。

私は、大金を貯金しに行くことにした。








人間というのは欲が深いもので、









彼女は、徐々に金を使い込んでいった。








そして、お金が底を尽きたころ、またやってきた。









次は楽しい記憶、









次は大切な記憶、










そしてそのお金も尽きたころ、










またやってきた。

プリ小説オーディオドラマ