第34話

11がつ
810
2020/08/21 15:33
ゆき


何故だろうか





なんで今更なんだろう


この子が。

あなたがどんな気持ちだったかも分からないくせに

なんで今更こんなことが言えるんだろう









翔吾先生
💬元気にしてるかな?
翔吾先生
💬あなたちゃんも



どこで何してるんですか?


なんであなたを捨てたんですか?


どうして?


なんで?


なんで


最後まで。








合格発表の日にあなたの番号を見つけるまで

傍にいてくれなかったんですか






ゆき
…意味わかんない


既読だけつけて携帯をベッドに投げた

















みき
あなたちゃんやろうか
あなた
はい



翔吾先生が居なくなって私の担当はみきさんがしてくれるようになった

夏、アシスタントから正式に講師として塾の先生になったみきさんはいつも会ったら私に声をかけてくれる大好きな先生



翔吾先生のことも、みきさんなら何か知ってるのかな


幾度となくそう思ったけど


どんな答えが返ってくるのか
まるで予想がつかなくて


いっそ
あなたは捨てられたんだよ

そんな答えが返ってくるって分かりきっていれば聞きやすいのに

本当に何も分からないから
心にずっと重りのように居座る気持ち


かと思えばその重りは振り子のように揺れて

私の心は安定しない
ずっとずっと。



翔吾先生に振り回されている











目の前にいないのにね















さくら


翔吾くんを初めて見たのは両親もいた会食の場だった。


彼を見た瞬間
胸がドキッとして
あ…この人と私結婚するんだって


運命の人なんだ


そう直感で思った
今までずっと堅苦しい両親の元育った私は
お金には何も苦労はしなかったし
両親から溢れんばかりの愛を貰って
こんなに幸せなことなんてないのに






どこか満たされないと思っていた




それは言うまでもなく

自分が1番望んできたこと



自分で自分の道を選択したい



学校も
さくらは有名なお嬢様学校に入れるの
そう言った母の言葉が幼稚園生ながらに頭から消え去ることは無かった

服だって
さくらにはこういうお人形さんみたいなお洋服が似合うわ
本当は友達が来ているような普通のキャラクターのTシャツやストリート系のファッションだってしたかった

そして恋も
お父さん、お母さん共に口を揃えて
素敵な人をさくらに見つけてあげるからね?
生涯を共にする人すら私に選ぶ権利はなかった




小さい時から優しいお母さんとお父さんの笑顔が大好きだった

でも気づけばその笑顔は圧力となって
ねぇ?そうでしょ?さくら
お母さんの言っていること
お父さんの言うことは
さくらを幸せにするんだよ?


そんな悪魔の笑みに見えるようになった










翔吾くん。

私はあなたを





















愛しています



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