第30話

言えない気持ち
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2020/08/12 12:58
あなた
どうして先生は昨日
あなた
私のことを呼び捨てで呼んだんですか
翔吾先生
へ?







え?…



きか、れて…た?




そんなの決まってる。
好きだから

あなたちゃんがかわいいから

もっと近い存在でいて欲しいから




心の中では何個も理由なんて出てくるのに










口に出せない
















そう




俺たちは " 教師と生徒 " なんだから









あなた
先生…
あなた
翔吾先生!
翔吾先生
っ…
あなた
私はっ



目の前に居るのに


遠い



あなた
私は!
あなた
先生の事が好きなんです!
翔吾先生
…え?っ
あなた
先生だって薄々気づいてますよね…ぐすっ


え?…



好き?



俺のことが…?





目の前のあなたちゃんは泣いてうずくまってしまった



こんなとき、俺が教師じゃなかったら

そっと抱きしめてあげられるんだろうか

俺も好きだよって言ってあげられるんだろうか




初めて教師なんて辞めたいと思った








あなた
辛いんです…
あなた
どうせ叶わない恋なのに…自分ばっか翔吾先生のことが大好きで、
あなた
だから…もうこれ以上…私にもまだチャンスあるかなっとか…ぐすっ
あなた
そう思わせないでください……
翔吾先生








あなたちゃんは足早にその場を去っていった







1人取り残された俺は


翔吾先生
俺も好きなんだよ


そう一言だけ空気に溶けさせた







儚い

儚すぎる夜





ゆき
あーあ
ゆき
やってまった
翔吾先生
っ…ゆきちゃん
ゆき
言っちゃえばいいのに
ゆき
好きなら好きって
翔吾先生
え?w
ゆき
好きなんでしょう?先生。あなたのこと
ゆき
私は別にいいと思いますよ
翔吾先生
ゆき
まぁ違ってたらすいません
ゆき
夜の勉強の時間にはあなた、無理やり来させるので安心してください
ゆき
じゃ








ゆきちゃんはいつもクールで

あんまり感情を表に出さない。

何を考えているのか正直よく分からないけど

言っていることは正しくて

見抜かれることもよくあって




それに助けられることだってあるのかもしれない







好きの気持ちを口に出して言えば




何がどう動いて







結局俺たちは…







幸せか


不幸せか



どっちに転ぶんだろう





まぁそれが分かったら誰も苦労なんてしないか

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