「ん〜…、あー!!!」
西畑「ちょ、おま、うるさいて。街中」
「スマホ充電無い!よしくんに連絡できない!」
西畑「は、ぁ?なんで正門に連絡する必要があんの」
「疲れたから泊まりに行く!ぎゅーしてもらいたい!だいご、貸して〜」
あぁ、せやね。お前、正門のこと大好きやもんな。
そう思いながら、前なら俺やった、
なんて何年も前の栄光に縋りたがる自分が嫌や。
前なら、、。
「だいご〜スマホ〜〜」
なんでもかんでもお前の1番は俺やったはずなのにな。
いつから言い合いばっかりになっけ。
俺なんかしたっけ。なんか言ったっけ。こいつのこと傷つけたっけ。
……ほんまは、正門とかはっすんみたいに可愛いとか言いたいけど。
一緒におりすぎて。はずかしくて。
いつも興味ないふりしてあしらってたのがいけなかったんやろうか。
「だいご〜〜〜」
西畑「…正門じゃなきゃあかんの」
「ん、?」
西畑「、俺やったやん……前は」
「ずっと前の話!」
西畑「そうやなくて、」
「もう大吾かしてくれないから家帰る!」
むーって唇をとがらせる姿から何故か目が離せない。
ちゃうんやて。
俺やったやんとかそういう事を言いたいわけじゃない。
冷たい風が運んだ優しい香りに、香水なんかつけるようになったん?
…俺、最近あなたのこと知らなすぎやな。
西畑「……あなた、」
「んー?」
" 俺んちくればええ " って。
そう言えたら、少しは前の距離に戻れるんかな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!