二宮side
昨日、大野さんに怒られたからあなたのお見舞いに始めてきてみた。
でも、あなたの病室の前に来たら、足が震えて動けない。
何回も何回もあの事故の瞬間がフラッシュバックしてくる。
俺があなたの病室に立っていると翔くんが話しかけてきてくれた。
翔くんは俺の手首の傷を見てびっくりした顔をしていた。
そう言われて翔くんと屋上に行った。
俺は昨日、大野さんが家に来たこと、大野さんに話した事を全て翔くんに話した。
そう言って翔くんは帰っていった。
そして俺はまたあなたの病室の前まで来た。
そしたらなぜか足の震えが止まり、自然とあなたの病室に入れた。
俺は言葉を失った。
あなたの体には包帯が巻かれていて、たくさんのチューブが繋がっていた。
ほんとにあなたはこのまま目が覚めないのかと初めて実感した。
そう思うとなぜか現実を受け止めれた気がした。
面会時間のギリギリまであなたの隣にいた。
そう言って俺はあなたの病室を出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!