第6話

episode5
12
2019/02/24 03:59
「えー、では当日は実行委員が早めに来て準備をするということで宜しいですか?」
「大丈夫です。」
「了解しました!」

実行委員の会議はスムーズに進み、実行委員長の萬月花緒マツキカオが場を取り仕切った。隣に座る神谷は自分の意見がはっきりと言えるようで、実行委員会にきちんと貢献出来ているようだ。一方俺はほぼうわの空で会議を聞いている。知らない人ばかりな上に同級生だけでなく後輩がいるのもきつい。なぜ彼女は高2の冬に転校して来たにも関わらずこんなにもすぐ場に馴染めるのだろうか。

「町田くん、さっきから意見がないみたいだけど何かない?」

何かない?なんて、何もないから何も言わないのにおかしな質問だ。

「何もないで…」
「町田くん。さっきあと30分くらい集合時間遅らせた方がいいんじゃない?って言ってなかった?」

神谷が俺に聞いてきた。そんなことは初耳だ。

「そうなの?」

萬月花緒が俺に尋ねる。

「いや、俺そんなこと…」
「言ってたじゃーん!遠くから来る人もいるし少し遅らせた方がいいって。」
「そうなのね。私もそこまで気が回らなかったわ。ありがとう。では30分遅らせましょう。他に意見はありませんね?」

その一言で会議は終了した。

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