第5話

episode4
10
2019/02/17 06:40
初めて接するタイプの女子に俺は少し心を開きかけていた…はずだった。

「神谷さん、一緒に移動教室行かない?」
「うん!町田くんも一緒に行こうよ!」
「神谷さんって名前めっちゃ可愛いよね!」
「そうかな?杏樹って名前、前の学校でも意外といたよ?町田くんの中学校のときとかどうだった?」
「町田くん!」

神谷はことある事に俺に構ってきた。人付き合いの苦手な俺にとってそれは苦痛でしかなかった。そしてついには、

「町田と神谷。お前らマラソン大会の実行委員会やってくれないか?」
「え…」
「やります!」
「お、助かるよ。じゃあよろしく頼むな。」
「はい!」

性格の明るい神谷はすぐにクラスに馴染み、先生からの評価も高く頼み事をされることも多かった。しかし俺をそれに巻き込むのは勘弁してほしかった。実行委員会ということは他のクラスの実行委員と接する機会が増える。ということはコミニュケーションを取らなくてならない。俺は場に溶け込めない。最悪だ。

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