「俺、あんなこと言ってないよな?」
会議終了後、俺はすぐに神谷に聞いた。
「あー…ごめん。」
「なんでわざわざ俺が言ったことにしたの?神谷の方がコミュニケーション取るの上手いわけだし神谷が普通に言えば良かったんじゃないの?」
「そう…なんだけど。私があの中で一番学校から遠いし、自分では言いにくくて…それに、」
「何?」
神谷が少し口籠もる。
「実行委員として町田くんから意見が出れば、みんな町田くんに話しかけやすくなるんじゃないかなって思って。」
「俺は一人でも大丈夫だけど。」
ずっと必要の無いコミュニケーションは取らずに生きてきた。今回もそうするつもりだった。
「でも!町田くんは良い人だから!」
「は?」
「良い人って皆に知って欲しかった!町田くんは私のことをコミュニケーションを取るのが上手いって言うけど、私だって初対面の人と話すのは緊張するよ?初日に町田くんと話せなかったら私は一人になってたかもしれない。」
「そんな事…」
「あるよ!!だから町田くんが一人でいるのが嫌だったの。無駄なコミュニケーションって思うかもしれないけどそれは無駄じゃないから!」
凄い勢いで喋り倒す神谷を俺はまた呆然と見つめた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。